他国のために戦ってくれる国などない

――ロシアとウクライナの戦争、そして中国の動きから、私たちは何を学ぶべきでしょうか。

一番はっきりしているのは、他国の代わりに戦ってくれる国はないということです。

ウクライナ戦争で言えば、最初、ウクライナがロシアの猛攻をしのぎ切り、自分たちで自分たちを守る力を示したからこそ、国際社会がウクライナを支援したのです。

日本の場合も、日本のことは日本で守るという当事者意識がないと周りは助けてくれません。

2011年3月の福島第1原発事故を思い出してください。あのときは、自衛隊が放水作戦をやったことでアメリカ軍の態度が変わりました。そういう意味で、まず自分たちで対処することが重要なのです。

いま日本人が軍事について議論する意義

本稿のインタビューで、「軍事を語るというのは小論文のようなもの」と語った高橋さん。確かに、防衛費増額や安全保障の問題をどうとらえるかは、マークシート方式のように正解が1つとは限らない。高橋さんのような専門家の意見ですら、論述問題の何通りもある「解答例」の1つだ。

『日本で軍事を語るということ 軍事分析入門』
撮影=西田香織

それだけに、日本を取り巻く状況や防衛費の使途を多くの人が理解し議論をする……そういう土壌を形成することが戦争を抑止する第一歩になるのだろう。

(聞き手・文=政治ジャーナリスト・清水克彦)
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