子供に「しつけ」は必要なのか。スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長の星友啓さんは「厳しく叱ったり、罰を与えたりするしつけは、将来、子供の心身に深刻な影響を及ぼす恐れがある。子供が自ら行動できるようサポートすることが重要だ」という——。

※本稿は、星友啓『「ダメ子育て」を科学が変える! 全米トップ校が親に教える57のこと』(SB新書)の一部を再編集したものです。

悲しくて寂しい表情の小さなアジア人の少年が、母親に叱られながら、自宅のテーブルの下の影に隠れている
写真=iStock.com/Thai Liang Lim
※写真はイメージです

子供を厳しく叱る「しつけ」は必要なのか

子どもが言うことをなかなか聞いてくれない。

なんでも自分勝手にやってしまう。

宿題やお手伝い、やるべきこと、やってほしいことは、嫌がってそっちのけ。

どれもよくある子育ての悩み。どのように対応するのがベストなのでしょうか? 主な解決法には大きく分けて2つの方向性があり、どっちもそれらしいので、誰もが悩まされてしまいます。

一つは「しつけ派」のアプローチです。

子どもが言うことを聞かない場合、厳しく叱ったり罰を与えたり。悪い行動は悪いとしっかりと教え、罪悪感を植え付けることで、子どもが正しいことを理解し、成熟した大人になっていく。しっかりした「しつけ」が子どもの将来のためになるーー。

うーん、ちょっと極端かもしれませんが、やはり、これはこれで、とっても理にかなっているように聞こえます。

叱りつけたり、罰を与えたりすることによる、子どもの心への影響も心配にはなるものの、実際に「しつけ派」のやり方で、子どもの行動が変わったり、親の言うことを聞いてくれるようになるのも事実。これは、かなり説得力がある子育て法です。

「しつけ派」か「のびのび派」か…

これと対極的なのが「のびのび派」のアプローチです。

子どもが言うことを聞かないのは、子どもの自我が表れているから。それだけに、子どもの自発的な気持ちを無視したり、行動を拘束し過ぎてはいけない。叱ったり、罰を与えて力ずくで抑えつけたりするなんて、もっての外。子どもの気持ちや選択をできるだけ理解、尊重することが重要で、どうしてもいけないことは、子どもに寄り添って、根気強くダメなことを説明すべき――。