外国人富裕層は観光リテラシーも高い

③富裕層を理解していない

外国人富裕層の特徴として、金融リテラシー同様に、観光リテラシーも非常に高いことが挙げられる。事業経験に加え、保有金融資産における投資経験があり、株式、債券、不動産など各自に得意分野や思い入れのある分野がある場合も多い。同じように、実際に、世界各国の観光地・リゾートに滞在し、さまざまな体験や経験を通して、投資や事業の観点からも、観光・レジャーマーケットにも精通していたりする。

筆者は、国内外の富裕層向け資産運用アドバイザーや金融コンサルタントの立場で、数多くの富裕層と直接接してきた。こうした経験則からいえる富裕層の特徴として、①人と同じはいや、②面倒くさがり、③でも、構ってほしい、が挙げられる。過去のプレジデントオンラインの記事にも書いてきた(東京随一の“セレブ通り”を走る富裕層が「テスラやレクサス」を選ばないワケ)。

また、①そもそも富裕層は自分の情報を開示しない、②コロコロ変わるは論外、③時間泥棒が大嫌い、といった点も挙げられる。これも過去に書いてきたことだ(「何度トライしてもソッポ向かれる」日本のメガバンクの富裕層ビジネスが全然刺さらない3つの残念な理由)。

実業家の手
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日本流の「おもてなし」を求めているとは限らない

高いホテルに高い料理に高いサービスに、特別なオプショナルツアーを用意すればいいという単純なものではない。値段ではなく、人と違う場所やサービスを求めたり、多忙な日常から離れ、ただゆったり家族やパートナーと滞在することを求める場合も多い。日本人のような弾丸ツアーや詰め込み過ぎのスケジュールを好まず、必ずしも日本流の「おもてなし」を求めている訳ではなく、受け入れる我々日本人側の自己満足だったりする場合もある。

こうした国内外の富裕層に共通する特性や普段のライフスタイルを理解した上で、富裕層ビジネスを構築し対応しない限り、ハワイやコートダジュールにクーシュベルなど並み居る世界的な観光地・リゾート地を押しのけてまで、富裕層にわざわざ日本を選択してもらうのは容易ではない。