連載#私の失敗談 第3回】どんな人にも失敗はある。ハーバード大学医学部准教授の内田舞さんは「そもそも、日本を出るという決断をしたのも、大学時代に経験したひどい失恋がきっかけだったんです」という――。(聞き手・構成=山本ぽてと)

「求められた女性像」が自分の素質と一致しなかった

小さいころから、薄々と感じていたことがあります。日本において、女性は弱くて幼い方がモテるらしい。意見を積極的に言ったり、能力を示すことが女性の魅力にはつながらないらしい。そしてどうやら、それは私の生まれ持った素質とは違いそうだということです。

#私の失敗談
撮影=プレジデントオンライン編集部

高校までは、リベラルな校風の学校に通っていたので、自分の個性を認めてもらえるような環境でした。ですが、受験勉強をし、大学の医学部に入るとガラリと変わります。

私が通っていた北海道大学の医学部は、当時は1学年100人中、女子は15人でした。男子学生ばかりの中、飲み会では、風俗に行った話や、ほかの大学の女子大生との話が「武勇伝」のように話される。そこで求められる女性像もまさに、日本社会が求める「わきまえた」ものでした。

フェミニズムとの出会いは「失恋」がきっかけだった

頭の中では「そんなのはおかしい」と反発していました。私はリーダーシップを取ったり、意見をはっきり言ったり、能力を示したりしたい。ですが一方で、大学生だし、恋愛がしたい、彼氏がほしい、男の子に魅力的と思われたいとも思っていたんです。特に恋愛関係になると、無意識に「理想の女性」に自分を合わせようとしてしまいました。

そうして結んだ恋愛関係は、あまり幸せなものとは言えず、ある日、私はとてもひどい失恋を経験しました。当時恋愛関係にあった男性から、女性としてないがしろに扱われたんです。その時に、「なぜ男性ってこうなんだろう」「女性に求められているものって何?」と疑問が湧いてきました。

私の疑問に対して、両親はフェミニズムの本を勧めてきました。実家の本棚にあった上野千鶴子さんや、フェミニストカウンセリングの河野貴代美さん、日本国憲法作成に携わり「両性の平等」を書いたベアテ・シロタ・ゴードンさん……そうした女性の本を読む中で、私が今までムズムズと違和感をもっていたこと、順応して生きなければと思って目を背けていたことが説明された気がしました。