5%セールスの75%は「ラッキーパンチ」で大型案件獲得

多くのセールスがラッキーパンチを経験しています。ラッキーパンチとは、ボクシングの試合で弱い選手が出したパンチがたまたま強い相手にクリーンヒットして、ダメージを与えることです。転じて、自分の実力と関係なく、タイミングや運で大型案件を獲得することをいいます。

さほど重要視していなかった顧客から高額な一括発注をいただいたり、ふらっと店舗に立ち寄った顧客が高額商品を即決購入してくださったりするようなケースです。5%セールスにもラッキーパンチはあります。5%セールスの75%は、運で獲得した大型案件があると言っていました。

5%セールスが「運」を味方につけるためにやっていることを、ここでは2つ紹介します。

セレンディピティを獲得するために行動を増やす

5%セールスは、偶然のラッキーを“必然”にすることに注力していました。

ここでセールスにおけるラッキーパンチとはどんなものか、もう少し具体的に見てみましょう。たとえば、トップセールスの“おこぼれ”です。

部門の業績に大きなインパクトを与える重要商談は、社長同士のトップセールスによってもたらされたもの、もしくは会社の業績に目をつけた大手企業側から問い合わせが来たものです。後者は代表電話や会社ホームページへ連絡が来ることがあります。

こうした大型商談を成功させれば大きな売り上げが見込めますし、単なる個別商談ではなく会社間の業務提携に拡大すれば、長期間に渡り安定した売り上げを獲得できます。

このような社長同士のやりとりや代表電話によって受けた商談は、各社のトップ5%セールスが対応することが多く、それが彼らの「連続成果」に繋がっているケースが多数ありました。

5%セールスへのアンケートによると、こうしたトップセールスや業務提携に関する初期対応を経験した5%セールスは79%いました。そうした大切な商談を任せてもらえるのは、それまで信頼を積み重ねていたからだと、5%セールスの人たちは教えてくれました。

入りたての新人や、成績が良くないメンバーに重要な商談を任せることはありません。商談成約率のアップダウンが激しくなく、着実に実績を積み上げていた人に「重要商談」が降ってくるのです。

このように向こうから降ってきたような幸運を「セレンディピティ」といいます。5%セールスは、安定して成果を出しつつも、セレンディピティで大型案件を手にしていました。

握手を求めて手を差し出す人
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セレンディピティを引き寄せるために、普段から信頼を積み重ねていたのです。そして、セレンディピティに気づくように意識していたそうです。

また、5%セールスはセレンディピティを増やすために、成功をイメージしながら行動量を増やしていくことを意識しているそうです。たとえば、オンラインセミナーに参加して、参加者同士で情報交換する。

社内の懇親会に参加して、普段話さない部門の人に話しかける。打算的な活動をするというよりは、行動量を増やして、接する人を多くすることで、人からもたらされる「セレンディピティ」を獲得しようとしていたようです。こうした行動量を増やす動きは、各社の5%セールスに共通する習慣でした。