そして、「成功」は目指しません。いきなり成功を目指すと、怖気づいて最初の一歩を踏み出せないからです。

その行動原理は、成功する、ではなく、行動から得た「学び」を次の行動に活かす、というところにありました。

圧倒的な成果を上げても「自分は怠惰だ」と考えている

また、彼らは週に1回は内省(振り返り)を行っていました。

彼らは意外にも「自分は怠け癖がある」と考えています。とんでもない成果を出し続けているのに、一般社員よりも「自分はそもそも怠惰である」と自己認識しているのです。

だからこそ、自分のやる気に頼らず、しっかり備えています。そして「やらなくてはいけない!」「よしスタートだ!」となったら、迷うことなく行動を開始します。

広告業界で活躍している30代の女性は、「宣言効果」と「締め切り効果」で初動を早めていたそうです。具体的には、「火曜日の午前中までに資料のドラフトを提示します」と同僚に宣言し、締め切りを意識することで、すぐに作業を開始する仕組みを作ったそうです。

②「手抜き」をする仕組み

2つ目は「手抜きをする仕組み」です。

30代で大化けした彼らは、限りあるリソースを正しく配分するという点に着目しています。彼らは、時間や集中力、体力を無尽蔵に投入するようなことはせず、こうした有限のリソースを最適に使って、重要な仕事に集中し、継続することにより成果を出し続けていました。

不動産会社に勤めている「できる社員」は、ヒアリングに対し「努力なんかしない、準備をするだけ」と断言します。

20代のときは同僚よりも多くこなそうと、顧客への提案件数は断トツのトップだったそうです。失注してもめげずに努力を続けることで、いつか営業成績が改善すると思っていました。

ところが、いくら頑張っても成績は上がりません。そこで、思い切って「努力をやめよう」と考えたそうです。成果につながらないと思われる案件への対応を短縮し、エネルギーを節約する戦略をとったのです。

そして今、30代で本部長に抜擢された彼は「努力をやめたというより、重要な案件に向けた準備をすることが、成果を出し続けることにつながった」と振り返ります。

「成果につながらない仕事」を見極めよ

30代で成果を出すようになった彼らは、共通して週に1回程度の内省をし、そのうえで、「成果につながる仕事」を見極めています。逆に言えば、「成果につながらない仕事」を見抜いている、ということでもあります。

彼らは仕事を選び、それに集中することで、最大の成果を出すことに成功しました。重要ではない仕事は手を抜いて軽くこなしていたのです。