組織からの信頼を失う人、高める人の根本的な違い

一方、一般的な社員の約7割は、評価を下げられないように、業務がうまくいっていなくても良く見せようとします。しかし、結果として締め切り間近でうまくいっていないことが明らかになり、上司やチームを困らせてしまうのです。

期待を高めたあとに落とす行為は、落差がそのまま大きな失望へと変わり、組織からの信頼を失います。

しかし、30代で優秀社員と評される人たちは違います。一人で複雑な課題が解決できないと理解している彼らは、うまくいってない状況すら意図的に見せることで、周囲を巻き込む力を発揮します。

「最終的にゴールに到達すれば良い」という信念の下、積極的に他者の力を借りることを躊躇ためらいません。そんな彼らにとって、「巻き込み力」は成果を出すための重要なツールなのです。

チームのみんなでハイタッチ
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スキルを求める95%社員、人を動かす力を磨く5%社員

私たちの調査で明らかになったもう1つの興味深い事実は、5%社員と95%社員が求めるスキルの違いです。

一般の95%社員が求めるスキルは、ITやファイナンシャルプランナーといった資格取得に関する内容が7割以上でした。

一方、5%社員は、企画書の作成術や相手の巻き込み方など、周囲を味方につけるコミュニケーション術を身につけようとする傾向にありました。これは、彼らが組織全体の力を引き出す力を重視している証拠といえるでしょう。

成果を出し続けるためには、しっかり管理することを目的にするのではなく、目的を達成するべく、手段としての「管理」をよりスマートに行うことが求められます。変化の激しいビジネス環境下で、固定的なマネジメントスタイルに固執せず、柔軟なアプローチを取るのです。

とくに、今の時代は情報が飛び交い、新しいビジネスモデルやテクノロジーが日々生まれています。このような状況に対応するためには、マネジメントのスタイルもまた変化し続けるべきです。

マイクロマネジメントの限界を理解し、チーム全体で問題を共有し、解決策を探すことで、より強固な組織を形成することが可能となります。