信頼を築く=協力者を得る戦略

周囲と信頼関係を築くことは、自身のみならず、組織全体にとっても大きなメリットをもたらします。

自身が信頼される存在であれば、新たなプロジェクトに呼ばれやすくなり、成果を出すチャンスが増えていきます。また、信頼関係が築かれたチームでは、他のメンバーからのサポートも得やすくなります。

20代の頃は「できない社員」と見られていた彼らが「信頼」に重きを置くようになったのは、単に人間関係を良くしようとしたのではなく、協力者を得るための戦略の1つでもありました。

30代に入ってから一躍活躍するようになることができたのは、個々のスキルや才能だけではなく、仕組みを構築し、それを活用することに成功したからです。

マイクロマネジメントの罠

次に、組織マネジメントの視点からも分析してみたいと思います。

私たちが、日本全国の617社を対象に調査を行ったところ、「マイクロマネジメントではなく、組織全体で業務の進捗しんちょくを“見せる化”」することが重要であることが明らかになりました。具体的には、成果を出し続けるためには、「しっかり管理する」マイクロマネジメントは逆効果なのです。

報告作業を徹底し、報告頻度と報告量を増やすことは、一般的には組織の業績を向上させることのように思われています。しかし、われわれの調査結果は、事実はその逆であることを示しています。

報告の量を増やしたところで、チーム目標が達成しやすくなるわけではありません。20年前のように「しっかり管理すれば、しっかり成果が上がる」という考え方は、現代の組織運営には適していないのです。

今、優秀な社員たちは「業務の見える化」ではなく、「業務の“見せる化”」を徹底しています。彼らは、自分の年間目標や今月の行動目標を上司や周囲に宣言し、その進捗をチャットなどで公開していきます。

彼らの行動は特徴的で、「うまくいっていないこと」も正直に報告するのです。