飲み物で糖分を取ると太りやすくなる

以前、日本臨床栄養協会評議員で管理栄養士の遠藤惠子氏とともに国内のメジャーな飲み物をチェックしたことがあるが、よく出回っている野菜果物ジュースは、糖質10グラム以上含まれている商品が多かった。

「急激な血糖値上昇を繰り返していると、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まることも知られています。また太りやすくもなるでしょう。飲み物で糖分を取ると、レプチンという食欲を抑制するホルモンが分泌されにくくなり、満足しにくいという報告があるのです」(山岸教授)

健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏
健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏

健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子氏も、「果物を食べている人ほど体重が減少する一方で、フルーツジュースを飲む人ほど体重が増加している傾向がみられる報告もあります」と補足する。

肉を食べると太ると思っている人もいるかもしれないが、太るのは糖分だ。食事をすると血糖値が上がる。すると膵臓からインスリン(ホルモン)が分泌され、血中の糖を肝臓や筋肉に取り込み、血糖値が下がる。しかし取り込む量にも限界があるため、糖質を取りすぎてしまうと、血中のあまった糖が脂肪細胞に取り込まれて太る。また糖質を大量摂取して血糖値が急上昇すると、体は大量のインスリンを分泌し、血糖値を抑えようとするため普段の空腹時血糖値より下がってしまう。空腹感や食べたい欲求がより強く起き、どか食いをしてしまうという悪循環につながる。

「果糖」は「ブドウ糖」よりもAGEを形成しやすい

デメリットはまだある。

果物に含まれる「果糖」は、米やパンが吸収されてできる「ブドウ糖」よりも、老化を促進する悪玉物質「AGE」を形成しやすい構造なのだ。AGEは、タンパク質と糖がくっついて劣化する現象(糖化)が進むことで発生する。前回、「干物」の記事で取り上げたように揚げ物のような調理過程でも、また体内で血糖値が急上昇して糖化が進むことでも発生し、蓄積される。再び山岸教授の話。

「例えばホットケーキ。小麦粉(糖)と卵(タンパク質)を混ぜ合わせたものがフライパンで加熱され、糖化反応が起きた結果、こんがりきつね色になります。そういったAGEを含んだものを多量に食べることでもAGEが蓄積されますし、私たちの体内でも同じように高血糖によってコラーゲン(タンパク質)がAGE化すると老化が進むということです。体中のコラーゲンがAGE化するとシミやシワなどの老け顔になったり、動脈硬化や骨がもろくなる、変形性関節症などさまざまな機能障害が起きてしまいます」(同)