ジュースにすることで「食物繊維」が失われる

しかし、この素晴らしい効果がジュースにした途端、打ち消される。原因の一つは「食物繊維」が失われてしまうことだ。野菜や果物に含まれる食物繊維には、健康を維持する多彩な働きがある。それがジュースにすることで、繊維が壊れて台無しになってしまうのだ。

「果物はジュースに加工されると、なんと食物繊維の80%が失われるといわれています。そのまま食べれば糖分の吸収を和らげるのに、ジュースにした途端、吸収効率が高まり、食後の血糖値上昇につながってしまうのです。10年以上前の論文になりますが、『BMJ』で発表された研究で、果物を丸ごと食べた場合とフルーツジュースとで糖尿病の発症リスクを比較しています。するとフルーツジュースでは糖尿病の発症リスクが8%上昇しているのです。どれくらいからリスクが上がりだすかというと、1週間で3杯程度から。つまり1日に換算すればコップ半杯です」(山岸教授)

また野菜や果物に含まれている糖分の吸収効率も問題だ。AGE牧田クリニック院長の牧田善二医師は「ジュース類は、人の消化や吸収機能を無視して作られた飲み物」と指摘する。

グラスに注いでいる野菜ジュース
写真=iStock.com/masa44
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「必要な時にインスリンが出せない=糖尿病」になる

「食べ物が胃に入ると、炭水化物なら3時間、脂肪なら7時間ほどかけて消化されます。ドロドロになったものが腸に送られ、ゆっくりと体に吸収されるのです。ところが液体に消化は必要ありません。ジュースは胃を通り越して一気に腸に入ってしまいます。血糖値が急上昇し、血管の内皮が傷ついて、やがて血管が硬くなってしまいます。野菜や果物ジュースより清涼飲料水のほうがたくさんの糖質を含んでいますから、悪性度が高い。しかし、野菜や果物ジュースはみなさんが“体にいいから”と信じて飲んでいることがやっかいなのです」

AGE牧田クリニック院長の牧田善二医師
AGE牧田クリニック院長の牧田善二医師

人の空腹時血糖値はだいたい90ミリグラム/dl。牧田医師はこれを「100ccの血液中に90ミリグラムの砂糖が溶けていると理解するといい」と説明する。

「体の全血液がおよそ5リットルですから、血液中には約4・5グラムの砂糖が溶けている計算になる。糖質が高い飲料を摂取するということは、そこに砂糖の塊、血糖値でいえば千の数字が出るほどの量を一気に取り込むことになります。体は血糖値が急上昇しないように、すぐさま膵臓すいぞうから大量のインスリンを分泌します。それを何度も繰り返しているうちに膵臓は疲弊し、必要な時にインスリンが出せない=糖尿病に行き着くんです」

私が野菜果物ジュースを批判する最大の理由は、ここにある。菓子やケーキ類をはじめ、炭水化物を多く含むものはもちろん血糖値を上昇させるが、それでも消化に数時間はかかる。まだマシである。ところが液体であると、たとえそれより少ない糖質摂取量であっても、血糖値を急上昇させる。