ナックルボーラーは絶滅危惧種

ナックルボールは、MLB通算208勝を記録したものの、「ブラックソックス事件」で永久追放処分を受けたエディ・シーコットが1908年に開発した。「ふらふらと蝶のように動き、バットから逃げて行く」とルースは語っている。

シーコットが開発して以降、各年代に優秀なナックルボーラーを輩出してきたMLBだが、全投球の90%をナックルボールが占める真のナックルボーラーは、2019年までボストン・レッドソックスでプレーしたスティーブン・ライトが最後とされ、ナックルボーラーは絶滅危惧種となっている。

フォークボールは、1916年8月26日にノーヒット・ノーランを達成した、アスレチックス所属のバレット・ジョー・ブッシュが開発したとされている。また、同時代にボールを浅く挟むスプリットも誕生した。フォークボールはその後、69年にセーブが公式記録に認定される以前からクローザーとして大活躍を見せていた、ロイ・フェイスの決め球として広く認知された。

AKI猪瀬『大谷翔平とベーブ・ルース』(KADOKAWA)
AKI猪瀬『大谷翔平とベーブ・ルース』(KADOKAWA)

フェイスは、シーズン20セーブを2度記録したMLB史上初のリリーフ投手で、リリーフ登板での通算96勝は、現在もナショナルリーグの記録として残っている。

一方、スプリットは、現役時代に使い手として有名だったロジャー・クレイグが、1970年代後半から90年代前半にかけて監督を務めた、サンディエゴ・パドレスとサンフランシスコ・ジャイアンツ時代に、積極的に自軍の投手陣に教えたことが市民権獲得につながった。

現在では、カーブの派生で「パワーカーブ」「ナックルカーブ」、チェンジアップの派生で「サークルチェンジ」「バルカンチェンジ」「パームボール」など、各球種で様々なバリエーションが存在している。

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