たとえ10分の空き時間でも時間をうまく使う

共通点②時間の使い方がうまい

彼らは、時間の使い方が、じつに上手です。

これも「勉強×部活」の文武両道の生活の限られた時間を有効活用するために身に着けたテクニックや習慣であろうと思います。

私が監督時代の教え子でプロ野球選手にもなった宮台康平君(2022年現役引退)は練習後のマッサージ中にも本を読んだり、いまTBSでアナウンサーとして活躍している喜入友浩君は、空き時間の10分で何をするか、事前準備を細かく決めていて目標の立て方も上手でした。

講演などで「部活をしながら、東大や他大学の受験・合格が本当にできますか?」とよく聞かれますが、“時間がある”よりも“時間をいかにうまく使えるか”のほうがよほど大事です。

共通点③負けることが嫌い

東大野球部員に限らず、何かを成し遂げられる人に共通するのは、負けず嫌いの性質があるからでしょう。これは性別を問いません。

幼い頃からゲームなどで負けて悔し泣きしている子のほうこそ見どころがあります。

また、同じ負けず嫌いでも、東大野球部員の共通点として言えるのは、他者に負ける以上に、自分に負けない意識が強いことです。自分で一度決めた目標に対して、コツコツと努力して成し遂げていく姿勢があるのが、彼らの特徴です。

負ける経験を重ねて人間の幅を広げる

一方で、負ける経験も、人としての成長に欠かせません。

東京六大学野球においては、東大は野球エリート集団ではありませんから、他大学に対してなかなか勝てません。

実際、私が監督をしていたときは、94連敗中のときでした。まさか100連敗するかどうかというプレッシャーの中、2015年5月23日に法政大学に延長10回6-4で勝つまで、負け試合の連続でした。私も危機感がありましたが、選手たちも同じ気持ちだったでしょう。よくぞ選手たちも腐らず、あきらめず練習に向かい合ってくれたものです。

東大野球部というと、世間的にはなんら挫折もないエリートと思われがちですが、こうして負ける経験をすると、人間の幅が広がります。このような人間ならば、どんな会社や組織からも望まれるでしょう。

実際、東京大学野球部のOB・OGの面々は、著名な企業へ就職したり、日本の将来を支える仕事、研究へと進路を歩んでくれています。