OECD(経済協力開発機構)による「高等教育機関への30歳以上の入学者の割合」(図表3)のデータを見てみましょう。これは、MBAなどの大学院レベルの教育を受ける人の割合と捉えることができます。

やる気が下がり、イノベーションが生まれない悪循環

日本は27カ国中下から7番目です。12.9%という割合は、27カ国の平均26.3%に遠く及びません。MBAがすべてというわけではもちろんありませんが、経営者やリーダーとしての教育、プロフェッショナルとしての高度な学び、それに対する意識の高い人材が少ないということは言えるのではないでしょうか。

「学ばない」ことがビジネスパーソンの習慣として定着した結果、個人の現場のスキルだけではなく、企業全体や社会全体の経営力やリーダーシップが弱まっていると言わざるを得ません。人材教育への投資や人件費が削減され、一方では給料が上がらず自分への教育にかけるお金や関心がない、その結果イノベーションは生まれず、企業は収益性が低下する中でさらに人材に対する支出を抑える……こうした悪循環によって、勝ち組と負け組が生まれる構造ができあがったわけです。

次に図表4を見てください。実線は出世したいと考える人、破線は出世したいと思わない人のそれぞれの割合です。年齢を重ねると共に出世したいと考える人の割合が急激に低下し、逆に出世をしたくない人の割合が高まります。

この2つが交差するのが42.5歳です。つまり、多くの人が40代前半で出世をあきらめてしまうということです。