為替は2分の1で当たる丁半博打のように見えるが…

もちろん、運が良ければ、たまたま自分の賭けている方向に相場が動くこともあります。ゲームの例で見たとおり、FXは元手にくらべて儲けも大きくなるので、麻薬のような喜びが生まれます。

たまに勝つことがあるというのが、この投資のまずい点です。必ず負けるとなると誰も手を出しませんが、勝つ可能性があるため、損した人も、「次の勝負に勝って取り返せばいい」と思いがちなのがFXの怖いところです。

また、為替は上がるか下がるかしかない、つまり単純なゲームだというところも手を出しやすいのではないかと思います。為替は丁半博打のようなもので、当たる確率が2分の1のような気がしてわかりやすいのです。ドルを買っていた場合、ドルが値上がりしたら儲け、下がったら損だというのはとてもシンプルです。

なぜFX取引をあおる業者があとを絶たないのか

さらに投資のプロではない人の多くは、少しでも儲かるとすぐに売って(利食って)しまい、儲けを大きく取らないのが一般的です。たとえば2円値上がりしたあと、1円下がって、含み益が半分になってしまうと不安になって売ってしまうような場合が多いです。

つまり、FXとは、「勝ちは少ないが負けは大きく、損するときはあっという間に賭け金をすってしまう。そして方向を合理的に当てることは不可能」という勝負になってしまうのが、典型的なパターンではないかと思います。

ではなぜFXをやらせようとする業者があとを絶たないのでしょうか。

土屋剛俊『お金以前』(日経BP)
土屋剛俊『お金以前』(日経BP)

それは、業者にとってはもっともリスクが低く、収益性の高い商売だからです。

まずは、お金を貸すのが業者です。その分の金利が取れます。

その上、業者は顧客が売買する度に少し鞘を抜けます。相場変動リスクももちろん取りません。したがってFX業者は、顧客がFXをやればやるほど、ほぼリスクフリーで儲かるというしくみです。大手のネット証券では、営業利益の3割がFXというところもあります。

ですので、FXは個人の資産形成のための投資対象としてはまったくおすすめできません。

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