「アイデアのサイズが重要なのです」

「僕のいちばんの関心は、アイデアをいかに形にするかということです」川村真司氏(写真提供:TEDxTOKYO)

「僕のいちばんの関心は、アイデアをいかに形にするかということです」。およそ4割が日本語ネイティブではないと思われる国際色豊かな聴衆を前に、流暢な英語でプレゼンテーションを始めたのは、マルチメディアコンテンツ制作会社PARTYのクリエイティブ・ディレクター、川村真司氏だ。

彼は多忙な本業のかたわらで、友人のバンド「SOUR」のビデオクリップの制作を引き受けてきた。制作予算はゼロ。作業時間は本業が終わってから寝るまでの間。それでも彼は言う。「自分の情熱を正当に扱い、ちょっとしたテクノロジーの助けを借りれば、アイデアを形にすることは十分にできます」

ステージの後ろのスクリーンで、川村氏はこれらのビデオクリップを披露した。一本は自身による手の影絵をもとに作り上げた、ちょっとはっとする叙情的なアニメーション「半月」。もう一本は世界中から募った数十人のファンが、スカイプを通じてバンドのメンバーと共にビデオに参加し、画面の中でさまざまなアクションを繰り広げる快作「日々の音色」だった。これらのビデオはYouTubeで公開され、「半月」は約18万ビュー、「日々の音色」にいたっては400万ビューを超える視聴者を集めている。

「予算のサイズが大事なのではありません。アイデアのサイズが大事なのです」。川村氏がそうプレゼンを締めくくると、場内を埋めた400人ほどの聴衆は、盛大な歓声とスタンディングオベーションで彼を讃えた。