本当にデキる人は論破などしない

・職場の上司に自分のスケジュールに合わせた休暇の許可を得ながら、「リフレッシュしてきな」と笑顔で送り出してもらう
・取引先からより良い条件の契約を取っただけでなく、「今後も一緒に仕事がしたい」と信頼度を高めてしまう
・知り合いからの面倒なお願いをスマートに断りつつ、いい関係は維持してしまう
・家電量販店で納得のできる値引きに成功したうえ、「いいお客さんだったな」と店員さんを笑顔にしてしまう

交渉とは、相手を論破することでも、打ち負かすことでもありません。

「頭のいい交渉術」を身につけると、「相手をあなたの提案に乗りたい状態」に促していくことができます。結果、あなたは有利な合意を得ながら、交渉相手との人間関係をより良くしていくことができるのです。

交渉術の本質は、あなたの望む最高の結末と、相手の納得感を重ね合わせることにあります。頭のいい人は、一度の勝ちではなく、交渉相手を長く付き合える味方、自分のファンにしてしまうのです。

私は「頭のいい交渉術」を身につけることで、誰とでも対等な関係をつくることができると考えています。これは対人関係に悩むすべての人に役立つスキルです。

では、頭のいい人たちが実際に行っている交渉は、ふつうの人の交渉とどこがどう違うのでしょうか?

今回のその一例として、頭のいい人たちがよく使っている「対処法先行モデル」というテクニックを紹介します。

相手にとって都合の悪い話をうまく伝えるには

聞き慣れない「対処法先行モデル」ですが、これは相手にとって都合の悪い話をきちんと伝えたいときに役立つ交渉術です。

たとえば……

「上司に耳の痛い話を伝えなくちゃいけないんだけど、どうしよう……」
「○○さん、自分に都合の悪い話だと途中でへそまげちゃうからな……」
「これから商談だけど、先輩、鼻毛がチョロッと出ているんだよな。でも、面と向かって言いにくいな……」

こんなシチュエーションで相手のためによかれと思って正しいことを伝えたつもりが、聞き入れてもらえなかったり、不機嫌になったりして、気まずくなったことはありませんか?

相手に修正すべき点があり、そこを正すような意見や提案、すなわち相手にとって耳の痛いことを伝えるのは、誰にとっても気後れする状況です。

ここでやってはいけないのは、相手の修正すべき点(What)を結論として先に伝えてしまうこと。すると、その後に続く改善や修正の仕方(How)に対して、聞く耳を持ってくれなくなる可能性が高まります。

なぜなら、耳の痛い話や都合の悪い話は、相手にとって「恐怖」の一種であり、本能的に耳を塞いでしまうからです。

とはいえ、伝えなければいけない……。そんな状況に直面したら、相手に伝える順番を意識しましょう。