片足立ち10秒ができない人はできる人より死亡リスクが高い

私たちはこの方法で、体のバランス力と認知機能の関係を研究しました。390人(男性151人、女性239人、平均年齢67歳)に60秒を上限に片足立ちを行ってもらい、MRI画像で脳の萎縮の程度を調べたところ、片足立ちできる時間が短い人ほど脳が萎縮していることがわかったのです。

片足立ちできる時間と脳の萎縮度
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

その後、50歳以上の健康な1387人(男性546人、女性841人)を対象とした研究では、片足立ち時間とさまざまな病気の関連性が示唆されました。特に、片足立ちが20秒未満しかできない人は、明らかに、無症候性ラクナ梗塞(隠れ脳梗塞)、無症候性微小脳出血(隠れ脳出血)を持っている可能性が高いことがわかりました。これらは将来、脳卒中を発症する可能性が高いことを示唆しています。

片足立ち20秒未満の人の割合と隠れ脳梗塞の個数
出典=『100歳まで生きるための習慣100選』(飛鳥新社)より

片足立ちと寿命に関する研究は、世界中で進められています。ブラジルの研究チームによる1702人を対象とした調査では、片足立ちが10秒できなかった被験者の7年後の死亡率は17.5%に上り、片足立ちが10秒できた人に比べて、何らかの原因で死亡するリスクが84%も高いことが判明したのです。

練習すれば長い時間できるようになっていく

なぜ片足立ちと寿命に関連性があるのでしょうか。片足立ちは、筋肉と骨が丈夫でなければできません。したがって、片足立ちができない人は、筋力と骨量が減少してサルコペニアになっていると推測できます。

サルコペニアは血管の老化も促進するため、脳梗塞などのさまざまな生活習慣病や、脳の萎縮を招くのです。片足立ちはサルコペニアの予防改善にもなりますし、練習すれば長い時間できるようになってきます。

今はできない人も、将来的に1分以上できるようになるのが目標です。