また「公」が主で優先、「私」は従で劣後するという関係ではありません。私は昔から「生活と仕事は融合すべきだ」と思い、実践してきました。メンタルとフィジカルのコンディションは「私」の部分でマネジメントしますが、それができているからこそ「公」の部分で義務や責務を成し遂げていけるんだという考えです。もちろん、スケジュール管理では人の都合が関係するぶん「公」のほうに配慮は必要になりますが、「私」をおろそかにしては「公」も成し遂げられません。

優先順位をつけてから爆速で仕事を処理

仕事が詰まってくると休むのを後回しにしがちです。でも、ダラダラ働き続けても効率や創造性は低下する一方で、良い結果は出ません。それがわかっているからこそ、最初から「私」の時間を確保することが必要になります。

具体的には3カ月ぐらい先までの予定のイメージを持ったうえで、1カ月、2週間、1週間、1日……と逆算し、あらかじめ「私」の時間をルーティンとしてスケジュールに組み込みます。そして日常の行動サイクルに、体力や精神力を「底上げする」「無駄に消費しない」「減ったらリカバリーする」予定を取り入れることで、メンタルとフィジカルのコンディションの波を一定以上に保つようにしているのです。

「無駄に消費しない」という部分では、幾つもの工夫がありますが、カレンダーに予定を入れる段階で、仕事の質や要する負担、重要度・優先度に応じたカテゴライズをすることが特に大事です。最も重要かつ優先度の高い仕事をなるべく小さな負担(時間と労力)でこなすことができれば、次いで重要度・優先度の高い仕事以降に余力を残すことができ、業務全体の質・量を高めることができます。

重要度・優先度の低い仕事は爆速で処理します。作業や決断を圧倒的短時間でこなすのはもちろん、その仕事をフォーマット化して転用できないかどうかも考えます。例えばプレゼンのために資料を作るなら、汎用性を考えて他のミーティング等でも使い回せるようにすると効率化できます。コミュニケーションはなるべくテキストで行います。言葉でかくかくしかじか伝えるより「これ読んどいて」と送るほうが速い。こうした工夫を徹底するとより多くの仕事量をこなせますし、重要度・優先度の高い仕事により多くのエネルギーをかけることができます。

各務氏の週間ルーティン