新たなサービスの舞台は宇宙へ

AWSは地球と宇宙を相互につなぐクラウド端末の実験に成功した。その目的はデータ発生場所の近くで計算を行う“エッジ処理能力”の向上だ。IT先端技術の実用化は、ブロックチェーンなどの新しいネットワークテクノロジーの利用可能性を高める。発生した場所でデータはシステムに入力され、ネットワーク全体での共有がより行いやすくなる。

それが、世界の企業の供給網管理に与えるインパクトは大きい。ネットワーク上に点在する企業がデータをシステムに入力し、瞬時に同期化される。そうすると、どこで、どのようなボトルネックが発生しているか、サプライチェーンの可視性が向上する(見える化)。企業は、どこに、どれだけの経営資源を再配分すべきか、より的確に理解できる。アマゾンは世界のサプライチェーン再構築ニーズを取り込むべくクラウドコンピューティング事業の強化を急いでいる。

倉庫内をパソコン上のスプレッドシートで管理する男性
写真=iStock.com/gorodenkoff
※写真はイメージです

物流革命は新たな局面を迎えている

アマゾンの物流革命は新たな局面に移行した。アマゾンはネットワークテクノロジーと人海戦術の組み合わせによってラスト・ワン・マイルを埋めた。しかし、今後は省人化が急加速する。米国ではアマゾンやウォルマートがドローンを用いた宅配サービスの確立を一段と急ぎ始めた。

感染再拡大、ウクライナ危機をきっかけにして世界全体でインフレ圧力が急激に高まっている。米国では労働市場が極めてタイトだ。賃金などのコストを削減して事業運営の効率性を高めるために、ドローンやロボットの活用は増加する。突き詰めて言えば、世界経済のデジタル化は止まらない。

加速するデジタル化の主導権を手に入れるために、新しい通信技術などの創出は欠かせない。そのために宇宙開発が強化される。地球から宇宙へ、アマゾンの物流革命の範囲は急拡大する。地上と宇宙での端末通信速度を引き上げるために、アマゾンは通信衛星の打ち上げ数を増やすだろう。資金捻出のためにも人員削減などのコストカットは急務だ。