業績拡大を妨げる「世界情勢の急変と競争激化」

しかし、2018年ごろからアマゾンは脱グローバル化に直面した。米中対立によって、世界のサプライチェーンが寸断され始めた。コロナ禍の発生が供給網の寸断を悪化させた。感染の恐怖から人手不足は深刻だ。中国のゼロコロナ政策も世界の供給を制約する。ウクライナ危機が事態を深刻化させた。世界全体で天然ガスなどの資源価格が高騰している。その状況は続くだろう。電気料金や燃料費の上昇によってアマゾンの収益性は低下する。

競争激化によってPB商品の売り上げは伸び悩んだ。アマゾンは各国の規制強化にも対応しなければならない。近年実施した物流施設の投資負担も重い。そうした要因に影響され、業績拡大ペースは急速に鈍化している。当面、アマゾンは雇用削減などコストカットを徹底しなければならないだろう。

主力の小売にメスを入れたアマゾンの対応力

PB商品削減は、アマゾンのビジネスモデルが転換点を迎えたことを示唆する。PB商品の提供には、自社を中心とする効率的なサプライチェーンの管理体制が必要だ。何を顧客が欲しているか。どこで生産するのが最も効率的か。在庫はどれだけ必要か。どの配送経路が最も低コストか。そうした複数の要素を加味してシミュレーションを行う。その上で、商品の企画から生産、物流まで最も効率的な事業運営体制を構築する。

そのために必要なことは、供給網の安定だ。しかし、ウクライナ危機などによって供給制約は深刻化している。アマゾンはPB事業継続のコストとベネフィットを比較し、現在の売り上げ状況では収益性向上は難しいと迅速に判断したとみられる。

言い換えれば、世界は安定した供給網を必要としている。その需要を取り込むために、アマゾンはPB商品削減など、費用削減を急ぐ。捻出した資金が再配分される分野の一つが、クラウドコンピューティング事業だ。アマゾンは、自社のクラウドを世界の企業のサプライチェーンマネジメントのプラットフォームにしようとしているだろう。その一つの兆候が、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)の実証実験だ。