徐々に血色が悪く、肥満気味になっていく

逆に3カ月を過ぎると本人の意欲も薄れ、再就職が難しくなる。幹部は高額の退職金をもらっている人ほど再就職活動に熱心ではないと言う。

「こちらが再就職に向けて一緒にがんばりましょうと言うと、『今まで懸命に働いてきましたから、しばらくは将来のことをじっくり考えながらやりたいと思う』と言う人もいる。金銭的な余裕があるので焦らずにゆっくりやりたいのだろうが、本人は充電期間のつもりでも実際は“放電状態”になり、だんだん就職先を探す意欲も失い、人材コンサルタントに会う回数も減り、再就職が決まらないケースも多い」と指摘する。

また、再就職に乗り気になれないのは退職後の失業給付も影響している。以前、首都圏のハローワークの就職相談員からこんな話を聞いたことがある。

「退職割増金を5000万円、8000万円もらった人はもともと給与が高い人たちなので満額の失業手当を1年近くもらえます。月に1回、失業給付の条件である就職活動の有無を確認するためにハローワークに訪れるが、探している振りをしているのは一目瞭然です。精神的に余裕がある感じの人が多く、暗い感じで相談に来る他の相談者と違い完全に浮き上がっていました。おそらく毎日おいしものを食べて、ゴルフ三昧の日々なんだろうと思い、私たちは彼らのことをゴールド族と呼んでいました。ところが半年も経つと彼らの中に、血色が悪く、肥満気味の人が増えてくる。日頃の不摂生がたたったんだろうと見ていました」

高額退職金を受け取った人ほど再就職への意欲が減退し、“放電”による身体的損壊などの副作用をもたらす可能性もある。

砂時計
写真=iStock.com/busracavus
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再就職で年収は半減する

再就職先がなかなか決まらない理由はそれだけではない。就職できても確実に給与が下がるからだ。一般的に大企業の2020年の50歳の年収は998万5000円(大学卒、中央労働委員会調査)。約1000万円だ。転職すると半分の500万円程度に下がるのが一般的相場だ。

その背景には2つの理由がある。1つは大企業に根強い年功賃金によって中高年の賃金は実際の生産性よりも高く設定されている。高度成長期に確立された年功賃金とは、入社から定年退職までの生産性の総計と給与支払い分の総計が一致する前提に、年齢・勤続年数に応じて給与が上昇する賃金カーブが描かれる。つまり、若年層には生産性を下回る低い給与を支払い、40代以降は生産性よりも多めに給与が支払われ、定年まで勤めることで生産性に見合う給与が精算されるというのが年功賃金の経済学的説明だ。