お笑いは音楽に勝てないと思っていたが…

同月に行われた「ゴッドタン腐り芸人オンラインセラピー~絶対にピー音が入らないオンラインライブ~」のチケットが2万枚弱売れたとも聞いた。

もちろん僕の力なんて微塵も及んでいないことは分かっている。板倉さんや岩井、おぎやはぎさんや劇団ひとりさんの力だ。

それに、いやそれ以上に、チケットが売れた理由は、視聴者が寄せる佐久間さんへの期待と信頼の大きさゆえだと僕は思っている。

あの佐久間さん仕切りのオンラインライブで、このメンツなら面白いに違いない。そう思った人間が2万人いた。

200人入れば成功と言えるお笑いライブにあって、会場で考えれば横浜アリーナが溢れるような巨大イベントになったのだ。

徳井健太『敗北からの芸人論』(新潮社)
徳井健太『敗北からの芸人論』(新潮社)

お笑いは音楽には勝てない。僕はずっとそう思っていた。ほとんどのミュージシャンはお笑いをしないが、音楽を使わない芸人はひとりもいない。

芸人のチケットは売れても千枚だが、ミュージシャンによっては10万枚だって即完売したりする。もちろんチケットの価格もお笑いの方がずっと安い。

しかも、同じネタを毎回披露するわけにもいかない。おまけに芸人がグッズで収益を出すなんて不可能に近い。

僕は勝手に諦めていた。だが、佐久間宣行は諦めていなかった。彼が担当する番組の企画で「俺のベビースターラーメン」という曲を発表した。お笑いは音楽に勝てない、そう思い込んでいた自分につくづく辟易する。共存の可能性を、僕はチラ見すらしなかった。

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