夫婦で同じ役割に取り組むことで発生する問題

「配偶者の家事・育児の満足度」について、不満があると答えた男性が32.1%なのに対し、不満があると答えた女性が52.9%というように、かなり開きがあることを伝えている調査結果(iction! 週5日勤務の共働き夫婦 家事育児 実態調査2019)がある。そこでは、双方によるこんな本音が紹介されていた。

〈妻への不満〉
「自分の家事にダメ出しをされる」(32歳)
「理想が高すぎてついていけない」(43歳)
「完璧にやろうとするので常にピリピリしている。もう少し楽観的な思考も必要」(32歳)
〈夫への不満〉
「夫の気分で家事・育児をしたりしなかったりする」(42歳)
「仕上がりが雑」(35歳)
「進んでやってはくれるが、出来栄えが不十分であったり、自分の方針と合わないことがある」(39歳)
榎本博明『イクメンの罠』(新潮新書)
榎本博明『イクメンの罠』(新潮新書)

父親はいちおうやってはいるが、母親としてはそのレベルに納得できない。これはなぜ起こるのか。経験者として考えてみると、二人の人間が同じ役割に取り組むと、どうしてもやり方も違えば、こだわる点も異なる。得手不得手もある。そこで不満や苛立ちが生じる。

これは子育てに限らない。仕事でも勉強でも、稽古事でも起こる。これが、イクメンの「ブーム化」「義務化」について私が抱く疑問に関係してくる。つまり、同じ役割を夫婦が分担し合うという方向を推奨する動きへの疑問である。

父親が「男性版産休」や育休を取って育児に専念するという場合には、家庭内にこのような問題が発生することは知っておいていいだろう。さらには、育児に対する意識の違いといった問題もある。

夫の育休がきっかけで離婚した夫婦も

先ほど紹介した新聞記事で「働いてくれていた方がよかった」と語っていた女性は、結局離婚することになったという。乳児を抱えての必死の育児生活では、決して無視することのできない事例ではないだろうか。

男性が育休を取れる時期は、生後1年までと定められている。この間に父親が育児をどう担うかは、「ブーム」に乗せられるのではなく、父親個人の仕事の事情、夫婦間の事情、性格や経済状況まで、あらゆる事情を考慮しながら夫婦で決めていくのがいいだろう。やってみて駄目なら、別の方法を試してみるなど、試行錯誤すればよい。

父親になった男性全員が育休取得を義務化され、母親とまったく同じ役割を担うことを求められ、それがうまくいかなくて自信を失ってしまうというようなことになれば、これ以上の少子化が進むことになりかねない。

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