なぜ“イクメン”を増やす必要があるのか

子育てはけっして楽じゃない。楽しむだけでは子育てにならない。思うようにいかなくて悩んだり、叱りすぎた後に自己嫌悪したりする葛藤の毎日、それが子育てではないか。

さらに言えば、「自分自身も成長する」といった利己的な発想からスタートしては、子育てに伴うストレスは高まるばかりだ。そのことは厚労省も、プロジェクトに名を連ねる委員たちも重々承知しているものと思いたい。

それなのになぜ「あなたの得になります」のような形でアピールし、イクメンを増やそう、男性の育児休業取得を増やそうと動いたのか。

厚労省が管理する「イクメンプロジェクト」サイトには「日本の男性が家事育児をする時間は他の先進国と比べて最低水準となっており、そのことが子どもをもつことや妻の就業継続に対して悪影響を及ぼしています」と明記されている。

同サイトの「なぜ今、男性の育児休業なのか?」という項目には、育休取得を増やす狙いがはっきり説明されていた。

──男女の「仕事と育児の両立」を支援するためです。
積極的に子育てをしたいという男性の希望を実現するとともに、パートナーである女性側に偏りがちな育児や家事の負担を夫婦で分かち合うことで、女性の出産意欲や継続就業の促進、企業全体の働き方改革にもつながります。
また、急速に進む少子化の流れから、年金や医療などの社会保障制度が立ち行かなくなってしまうという危機的な状況にあり、次世代を担う子どもたちを、安心して生み育てるための環境を整えることが急務となっています。
その環境整備の一環として、仕事と育児の両立の理解促進をはかるとともに、両立に向けたノウハウ支援などを通じ、男女ともに育休取得の希望の実現を目指しているのです。

つまり、厚労省はじめ国が育休を取得するイクメンを推奨するのは、夫と妻に平等に子育てを負担させ、少子化に歯止めをかける狙いがあるからだ。前述の説明のすぐあとには「2025年までに男性の育児休業取得率30%を目標に!」と記されている。

負のトレンドのグラフイメージ
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