お母さん同席の上での衝撃の告白でした。これは、明らかに大胸筋を鍛える筋力トレーニングをしなかったから起こった現象です。筋力低下症状の典型例の一つと言えます。

これまで挙げた骨盤底筋や大胸筋だけの話ではなく、腹筋もできなくなっている若い女性も増えています。痛み治療の最前線にいると、まったく運動をしない若い人たちがどれほど多いか痛切に感じます。

私が患者さんや女性研修医を通じて知った若い女性たちの「筋力低下」による症状は氷山の一角です。実は多くの女性が悩んでいるのではないでしょうか。

若い女性たちは仲間同士で話をしても、仲間が皆、筋力が弱いので、それが当たり前と思っているのです。

20代の女性研修医でも尿漏れについて仲間内で話し合って、傷をなめあうだけで、大きな問題と認識していませんでした。尿漏れや胸の衰えなどの症状が起こっても、誰にも相談できずに、一人悶々と悩んできるケースも多いのではないかと推察できます。

ただ痩せるのではなく、よく食べ、筋力をつける——。若い女性たちの行動変容が求められます。

ストレッチで筋力をつける

一方、私たち医療者側の問題としては、それを指摘、指導する医者が少ないことです。

痛みの治療体制を充実させるとともに、運動による体力向上を患者さんや患者予備軍にインストラクトする、これは医療界ならびに関係する機関、パートナーが集学的に横の連携を取り合って対応していくべき大きな課題です。

ちなみに先述した女性研修医は、早速ストレッチと筋力強化を始め、3カ月後に「骨盤底筋を鍛えたので尿漏れが収まりました」と喜んで報告してくれました。即効性があるのだなと感心しつつ、「お友達にもトレーニングを勧めてね」とお願いしました。

北原式 骨盤底筋群の劣化による尿漏れを防ぐ3つのストレッチ

上記のストレッチは大変地味で、若い女性からすると食いつきにくいかもしれません。しかし筋肉をつけることはコツコツとした地道な取り組みです。

まさに「ローマは1日にしてならず」「千里の道も1歩から」です。安心・安全に子供を産める筋力をつけて、ご自身と未来のご家族を守っていただきたいと思います。