腰痛を治すにはどうすればいいのか。横浜市立大学附属市民医療センターペインクリニック内科の北原雅樹医師は「慢性腰痛の原因は腰ではない場合が多い。筋肉量を増やし、柔軟性を高め、生活習慣を見直すことが必要だ」という——。(聞き手・構成=医療・健康コミュニケーター高橋誠)
腰をおさえている人
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なぜ慢性腰痛に悩む人が増え続けるのか

慢性の腰痛に悩む人々は1271万人と推計されています(厚生労働省資料2019年「国民生活基礎調査の概況」)。まさに「国民病」と言えるでしょう。

私のもとにも、何らかの誤った治療によりこじれ、腰痛が悪化してしまった患者さんが多くいらっしゃいます。腰痛に悩む患者さんが行く当てもなく「慢性腰痛難民」となっている現状があるのだと、現場で実感しています。

腕のいい整形外科とはいえ、彼らは慢性痛の専門家ではありません。やることは手術、注射、投薬です。安易に手術を勧めるケースもあると患者さんから伺います。日本の整形外科医、さらに言うと医師も、慢性痛についての教育を受けません。慢性腰痛に悩む患者さんが減らないのは、こうした医療者側に原因の一端があると言えます。

慢性腰痛の原因が腰にあるケースは稀です。実際は「筋肉のコリ」であり、何十年にもわたる生活習慣や心理的な要因が積み重なって発症します。慢性腰痛の治療は非常に複雑で、患者さんからじっくり話を聞いて特定していく丁寧な過程が求められます。

では、慢性的な腰痛に悩む人にはどのような共通点があるのでしょうか。私のもとを訪れた患者さんに共通して見られた特徴をご紹介します。