慢性腰痛に悩む人の共通点

一つ目は相対的に筋力がない人です。腰や関節を守るには、それを支える筋肉がついていなければなりません。筋肉が少なければ、その少ない筋肉に過度な負担がかかります。結果、血行が悪くなり「コリ」を生む原因になります。

特に、やせ型の若い女性の患者さんを多く見かけます。若い女性は「痩せていてきれいね」と言われ喜びを感じる人は少なくないと思います。そのせいか、根っから食が細くなっている人もいます。それでも20代、30代の女性には、カロリー制限しながら「とにかく食べて運動してください」と指導します。それだけで改善する人もいらっしゃるのです。

痩せていて運動をしない、60歳後半以上の人はさらに注意が必要です。なかなか食べる量を増やせません。栄養補助食品を勧めても、ドロッとした触感が苦手だったり、下痢したりなどで受け入れてくれません。栄養指導をしてもドロップアウトしてしまいます。

特徴の二つ目は筋肉が固まっている人です。

これも運動不足や、同じ姿勢をとり続けたりすると筋肉は柔軟性を失います。筋肉のそんな方は、ストレッチで柔軟にすれば慢性腰痛が治りやすいです。ストレッチの具体例は後述します。

筋肉が少ない、固まっている人——。それは一種の生活習慣病を抱えた人たちです。太りすぎ(過体重)、運動不足、偏った運動、同じ姿勢での長時間労働、精神的なストレス、喫煙、不十分な睡眠、不規則な生活時間などです。慢性腰痛は、これらの要因が複雑に絡み痛みを引き起こし、継続させているのです。

つまり慢性腰痛の撲滅には生活習慣の見直しが不可欠です。私は生活習慣の改善点として以下の11項目を指導しています。

北原式 本当に厄介な慢性腰痛患者が変えるべき生活習慣11のポイント
1.飲酒はほどほどに(寝酒は禁止)
2.喫煙しない
3.カフェイン(エナジードリンクも)はほどほどに
4.適切な睡眠(睡眠時無呼吸症候群の改善、寝る前の深酒の禁止など)
5.規則正しい生活
6.減量(筋骨格系や心肺機能への負担の減少)
7.減量のための栄養管理
8.ホルモン系の調整(更年期など)
9.適切な運動(代謝を落とさないために)とストレッチ
10.リラクゼーション
11.不要な薬の減薬・中止(肝臓・腎臓などへの負担、副作用、薬物相互作用の減少)

真の原因にたどり着けば根治できる場合も

整形外科に通ってもなかなか根治できない慢性腰痛ですが、治療法が全く無いわけではありません。腰痛を引き起こす真の原因を特定できればいいのです。

例えば、人気落語家の林家木久扇さんはひどい慢性腰痛に悩まされ、レギュラー出演しているテレビ番組「笑点」の出演も断念するところまで追い込まれていました。