勤め人の40代といえば、組織の中で管理職になっている年代だ。そして管理職に必要なマネジメントスキルの核は、「最適化」と「変革」である。

最適化とは、ゴールが決まっている仕事に向けて、自分が受け持つチームを的確な形で率いていくことである。予算を把握してメンバーの役割分担を決め、利益を出していく。ゴールに到達するまでの過程では予期せぬトラブルや課題に遭遇するが、そこで持っている知識と判断力を駆使して適切に対処していく。マネジャーとしてのベーシックな仕事だ。

こうした管理能力の重要性に対しては、「自分の人生の目的は実務を極めることで、出世ではない」と反発を感じる人もいるかもしれない。もちろん必ずしも昇進=キャリアの成功ではないが、ある分野でプロの階段を上がっていこうとすれば、必然的にリーダー的立場になるし、結果として出世するものだ。

40代の必須業務ともいえる「最適化」に対し、「変革」はプラスアルファの部分である。そしていま、変革を起こせるかどうかがトッププロになれるかどうかの分かれ道なのだ。これまで身につけた基礎力と専門性を土台に、新たな仕組み、新たな方策を立案する。先人たちのつくったものではなく、時代に即した新たな価値をつくり出し、次の世代に伝えていく。それこそがリーダーに真に求められる仕事である。

若い頃の働き方のままでは漂流人生へ

大卒ですぐ働き出したとすれば42歳で大体20年目。順調に山登りができていれば、これまでの修練が実を結び、最も充実した時期を迎えているはずである。

ビジネスマンとして開花し、大きな成果を挙げる人がいる一方で、若いときの働き方を変えられず、目の前の仕事に忙殺されたまま漂流し始める人も出てくる。個人の格差が大きく拡大するのが40代なのである。

もっとも山決めが遅れても、その分頂上に到達するのが遅くなるだけで、山登り自体はまだまだ可能である。とはいえ、体力やその後のキャリアを考慮すると、遅くとも45歳までには自分の山を決めて登り始めることをお勧めする。

(構成=石田純子 撮影=永井 浩)