国民の自由な意思を制限する中国の末路

経済運営面で共産党政権は、党の指揮による資源の再配分を強化しなければならないはずだ。具体的には、米国を上回る競争力を獲得するためにAIや量子コンピューティングなど先端分野への産業補助金や海外企業からの技術移転が一段と強化される。海外需要の取り込みのために、“一帯一路(21世紀のシルクロード経済圏構想)”沿線国へのインフラ投資なども国有・国営企業主導で増えている。

金融面ではデジタル人民元の実用化によって、国内およびクロスボーダーの資金取引がより厳しく監視される。そうした取り組みは、共産党政権が海外への資金流出を食い止めつつ相応の経済成長率を実現し、求心力を維持するために欠かせない。

このように考えると、中国では社会と経済の両面で共産党のテクノクラート(技術官僚)が策定する計画と指揮に基づいた運営体制が引き締められるだろう。国民は習氏の考えに従うよう強要され、自由な意思はより強く制限される。人々の成長や成功を追い求める血気(アニマルスピリット)の減退は、経済のダイナミズムを毀損する。中国が文化大革命の再来を思い起こさせるような状況を迎えている中で、潜在成長率の低下懸念は徐々に増えるだろう。

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