出世の早い人にはどんな特徴があるのか。研修トレーナーの伊庭正康氏は「上司の代わりに、いわば汚れ役を買って出ている人は出世が早い。『よくそんな役をわざわざやるよなあ』と同僚からも一目置かれる人をイメージしてほしい」という――。

※本稿は、『Study Hack! 最速で「本当に使えるビジネススキル」を手に入れる』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

会議場で聴衆の前で演説をするビジネスマン
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上司の盲点、サポートできていますか?

「フォロワーシップ」という言葉を聞いたことがありますか? これは、アメリカのカーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が1992年に出版した著書のなかで提唱したもので、「上司の盲点を把握し、サポートする姿勢」のことです。

このフォロワーシップが、いまのビジネスシーンではとくに重要なものになっているとわたしは考えています。というのも、時代の変化によって上司には見えない部分、盲点が以前よりあきらかに増加しているからです。

環境の変化がいまほど激しくなかった時代なら、上司は自らの経験則から判断を正しく下すことができました。でも、いまはとにかく環境変化のスピードが上がっている状況です。つまり、上司が若い頃から培ってきた経験則が通用しない場面が増えている。そのため、変化が激しい現場にいる部下から上がってくる情報を整理して、正しく判断するハードルが以前より格段に上がっているのです。

デキる部下は「問題発見マニア」

そこで重要になるのが、フォロワーシップ。部下が主体的に上司の盲点を把握してサポートすることが大切になります。いわば、部下の主体性に上司のパフォーマンス、ひいては会社の業績がかかってきているともいえます。そのため、2010年頃から多くの会社が積極的にフォロワーシップ研修を行うようになってきたのです。

ただ、それだけフォロワーシップの注目度が上がっているなかでも、本当の意味でしっかりとフォロワーシップを発揮できている人は、驚くほど少ないと思います。わたしが行っている研修を通じての実感からすれば、その数字は全体のわずか3%というところでしょうか。

フォロワーシップを発揮できている部下には、「問題発見マニア」とでもいうべき特徴があります。ただ指示どおりに動くだけではなく、組織が抱える問題を自ら発見し、その解決策などを上司に提言し、かつその実現のために行動することができるのです。