国際的に見ても日本人の幸福度女性優位は稀有な事例

幸福度について女性から男性を引いた値、すなわち「幸福度女性優位」のランキングを図表3に掲げた。図表の一番左の折れ線が世界価値観の最新データのランキングである。日本はフィンランドに次ぐ世界第2位となっている。

世界価値観調査の前回、前々回の結果は、それぞれ、世界1位、世界11位だった。

世界価値観調査だけでは怪しいと見る向きのために、もうひとつの権威ある国民意識の世界調査であるISSP調査の4回分の結果も図示している。

幸福度の女性優位度についての以上7回にわたる調査結果では、日本の順位は1位が3回、2位が2回、3位が1回、11位が1回となっている。日本の女性の幸福度が男性を上回る程度は、まず間違いなく、世界トップレベルにあるといってよいであろう。

どうして、日本の女性の幸福度が男性よりこれほど高いのか。それについての定説はない。というより、その事実じたいが、日本は根強く男性優位社会(=男性のほうが幸福)であるという一般的な通念と矛盾するので、看過されてしまっている。

世界ランキング:幸福度の男女差

私の考えを述べたい。

日本ほどではないが、幸福度の女性優位は、韓国、台湾、香港といった東アジア諸国でも共通な場合が多い点を考え合わせると、相続や選挙権に関する制度的な男女平等が各国で戦後実現したこと、また現代ではかつての儒教道徳から女性がかなり解放されたのに対して、男性のほうは「男は一家の大黒柱」あるいは「男はか弱い女性を守らなければならない」といったような古い道徳観になお縛られていること、などがこうした結果の背景にあるのではないか。日本では男への期待感が潜在的に大きいだけに、当の男性としてはそれに応えられているかどうか微妙でなかなか幸福度を感じにくくなっている、というのが私の見方である。