パッシブ運用を基本にプラスαも狙う

そこで、資産形成のコアにはパッシブ運用の投信を活用する前提で、その具体的な方法を考えてみよう。方法は大きく次の2つだ。

(1)インデックスファンド(またはETF)を組み合わせる
 (2)インデックスファンドの集合体であるバランス型の投信を組み合わせる

(1)の場合、インデックスファンドは1本では特定の種類の資産(株式・債券)にしか投資できないので、日本株式・債券、外国株式・債券の4つに分散して投資するのが基本だ。

08年だけ見ると、この4資産に等分に投資したとしても約30%程度資産が目減りした。しかし、10年間で見ればマイナスになっておらず、長期投資した場合の安定性は高い。

具体的には、日本債券はMMFなどで代替し、日本株式、外国株式・債券はインデックスファンドを活用しよう。日本の株式市場全体に投資する場合はTOPIXに連動する投信がお勧め。一方、世界の株式市場全体に投資するなら、MSCIコクサイ・インデックス(注1)、世界の債券市場全体に投資する場合はシティグループ世界国債インデックス(注2)に連動する投信を保有しよう。信託報酬が低く、販売手数料が無料で、純資産総額が順調に増えているものが望ましい。

買っていい投信の組み合わせ4パターン+α
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買っていい投信の組み合わせ4パターン+α

代表的な商品はSTAMインデックスシリーズで、主要なネット証券で販売されている。新興国の株式を組み入れたい場合には、新興国市場を幅広くカバーするMSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動するファンドを加えよう(表・パターン1)。

いっぽう、投資資金に余裕のある人は、株式部分はETFを活用してもいい。ETFは特定の指標に連動するという点はインデックスファンドと同じ。証券取引所に上場されているので、株と同じように取引ができ、数千円単位から取引できるものもあるが、海外に上場するETFは売買コストが高めなので、まとまった金額で取引したい。

例えば、TOPIX連動型のETFとMSCIコクサイ指数に連動するETFを組み合わせる(表・パターン2)と、先進国の株式市場全体に投資できる。

ただ、インデックスファンドやETFを組み合わせる場合には、数年に一度は、あらかじめ設定した比率に調整する必要がある(当初決めた比率よりも増えた資産は売却し、減った資産を買い増す)。

その点、(2)のバランス型ファンドは、調整の手間がいらないというメリットがある。その場合、信託報酬が年1%未満で、販売手数料がかからない商品を利用するのが大前提。例えば、セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドの場合、世界30カ国以上の株式と10カ国以上の債券に分散投資することができる(表・パターン4)。

投資に回すお金のうち7割以上は以上のコア投資に充てたら、残りを積極的にリスクをとって高いリターンを狙う商品(表・プラスαの商品)に投資してもいい。将来的に有望だと思う会社の株を買ったりしてもいいだろう。

(注1)モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナルが開発した株価指数で日本を除く先進国で構成
(注2)シティグループ・グローバル・マーケッツ・インクが開発した、世界主要国の国債の総合投資利回りを各市場の時価総額で加重平均した債券インデックス

※すべて雑誌掲載当時