「マイナス金利」のいま、銀行にただお金を預けていても、まったくふえません。「どうしたらお金がふえるのか」と悩んでいる人は多いでしょう。そうはいっても、投資は「こわい」。本稿では、そんなふつうの日本人に適した「お金のふやし方」についてご紹介していきます。

まとまったお金がなくても、投資を始められる

「いま、ふつうの人が始める投資として、なぜ『投資信託』がいいのか」(http://president.jp/articles/-/17529)で投資信託の話をしましたが、私たちが投信を購入するには2つの方法があります。ひとつは「○円分買う」というように一括でまとめて購入する方法、もうひとつが毎月一定の金額を銀行口座や証券口座から自動引き落としで、必要な分だけ自動的に買い付けていく方法(積み立て)です。

『臆病な人でもうまくいく投資法 お金の悩みから解放された11人の投信投資家の話』(竹川美奈子著・プレジデント社)

後者の積み立てという方法で毎月一定の金額を購入すると、値上がりしているときには少しだけ、値下がりしているときにはたくさんの口数を買うことができます(「ドルコスト平均法」といいます)。積み立て自体が、一括で投資するのに比べて有利ということはありませんが、現役世代にとっては活用しやすいしくみです。

まず、生活の中に取り入れやすいという利点があります。毎月、お給料をもらったら、その中から自動的にお金を投資に振り向けるしくみをつくれるからです。また、積立額は柔軟に変更することも可能です。

2つめは、世界中の株価が暴落するようなときでも、価格の変動に振り回されることなく、投資を継続していけることです。人間はどうしても感情で動いてしまいがちなので、値段が下がっているときには「もっと下がりそう」と怖くて買えないし、逆に、高騰しているときには「そろそろ下がるかも」と心配になって買えないという場合が多いからです。最終的な投信の評価額は「量」×「基準価額」で決まります。下がったときはたくさんの量(口数)を買えるチャンスでもあるのです。

3つめは少額から始められることです。今では1商品につき500円とか1000円といった少額から投資信託の積み立てができます。投資を始めるハードルは以前に比べて格段に低くなっているのです。ネット証券やネット銀行のほか、最近は一般の銀行でも、インターネットバンキング専用投信などを少額から積み立てることが可能です(最低積立金額は金融機関や商品により異なる)。

投資というと、「まとまったお金をためてから始めるもの」というイメージが強いせいか、「投資=お金持ちのもの」と考える人も少なくありません。しかし、少額から積み立て投資ができるようになったいま、「まとまったお金をためてから投資を始める」から「貯めながら、一緒に積み立て投資もしていく」というように、発想を転換してはいかがでしょうか。

まとまったお金のないビジネスパーソンこそ、未来に向けてまとまったお金をつくるために、若い時期から「積み立て投資」をもっと活用してもいいと思うのです。一般に、将来の稼ぎ力が大きい時期ほど、リスクをとって金融資産に投資をすることができるからです。

もちろん短期的には価格は変動しますが、長期でみたら、預金よりも、(投信を活用して)世界中の企業の株式に自分のお金を置いておいたほうが、お金をふやせる可能性が高まります。そして、実際に、投資信託を活用してコツコツと積み立て投資を行う人たちは確実にふえてきているのです。

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