日本の未来を預けるリーダーは、若ければ若いほどいいのか。慶應義塾大学総合政策学部の中室牧子教授は「日本の選挙を分析した米ハーバード大学の研究によると、45歳以下の若年市長が当選すると、子供の教育や福祉に対する自治体の支出が大きく増える。その意味で、自民党の『73歳定年制』の議論には注目したほうが良い」という――。
第4次安倍再改造内閣 新閣僚らが官邸入り=2019年9月11日
写真=ロイター/アフロ
第4次安倍再改造内閣 新閣僚らが官邸入り=2019年9月11日

選挙が迫ると再燃する「73歳定年制」問題

早ければこの秋、とも噂される解散・総選挙。その動きを睨んでのことか、与党自民党の衆議院選挙の比例代表の「73歳定年制」の撤廃を巡る動きが再浮上した。

70歳を超えるベテラン議員が撤廃を訴え、若手がこれに猛反発した。結局、現状のまま「棚上げ」という自民党らしい決着を見たが、この「定年制」の有無が私たち、とくに若い世代に極めて重大な影響を及ぼしているのだ。

「73歳定年制」について少し捕捉をしておこう。これは、自民党が独自に定めた衆議院選挙の候補者選定基準である。周知のとおり、衆議院選挙は、1つの選挙区ごとに議員1名を選出する「小選挙区制」と、各政党が獲得した得票数に比例して政党に議席が配分される「比例代表制」で行われる。

比例代表は小選挙区との重複立候補ができる。立候補する側からみれば、「復活当選」のチャンスがある重複立候補は魅力的だろう。

しかし、この重複立候補をしない、あるいはできない議員もいる。安倍晋三総理、小泉進次郎環境大臣などは、自ら重複立候補を辞退している。落選する確率は極めて低い人気のある候補者は、小選挙区のみに立候補する。

これに加えて、自民党内のルールで、公認時に73歳未満の候補者は小選挙区と比例区での重複立候補することができない。これが「73歳定年制」である。