ビジネスパーソンなら誰でも会計の基礎知識は必須です。簿記なんて勉強してこなかったという人でもわかる、財務諸表の読み方をクイズ形式で解説しましょう。

クイズで楽しく学べば記憶に残りやすい

新型コロナウイルス感染症の拡大によって多くの企業がダメージを受けている一方で、影響がほとんどない、あるいは業績を伸ばした企業もあります。これから業績を伸ばして成長していくのか、衰退していくのかは、決算書をチェックすることで、将来を予測する際のヒントを得ることができます。

ビジネスイメージ グラフ
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私は公認会計士として数多くの企業の決算書を分析してきましたが、決算書の魅力には、「実利」と「謎解きの面白さ」があると考えています。実利の面では、企業が持っている資産や負債の状況や、1年間の売上や費用に関する情報を数字で把握することで、企業の成長性などを判断できます。一方で謎解きとは、決算書の数値を読み解くことで、企業の隠れた戦略が見えてくることです。

決算書には4つの書類があります。(1)貸借対照表(B/S)、(2)損益計算書(P/L)、(3)キャッシュ・フロー計算書(C/S)、(4)株主資本等変動計算書(S/S)です。このうち、特に重要なのが(1)~(3)で、合わせて「財務3表」と呼んでいます。

B/Sでは、企業がどんな資産を持っているか、誰からどのくらいのお金を借りているかなどの財政状態がわかります。P/Lでは、どのくらいの売上があり、その売上を得るためにどのくらいの費用がかかったか、利益がどのくらい残ったかなどの経営成績がわかります。C/Sでは現金の増減がわかります。企業は商品やサービスを提供しても、代金を受け取れるのは、翌月であることも少なくありません。たとえば、「売上は3月でも、入金は4月」といったように、現金の動きに時間差が生じます。B/SやP/Lではわからない現金の動きを表した書類がC/Sなのです。C/Sを見れば、会社にどのくらいの現金があるかがわかります。

財務3表は、単体でもさまざまなことがわかりますが、組み合わせてチェックすることでわかることもあります。たとえば、B/SとP/Lの大きさを比較すると、企業のビジネスモデルが見えてきます。実際の決算書をクイズ形式で見ていきましょう。