ディフェンダー開眼となった岡田監督の言葉

【三宅】ちなみにセンターバックというポジションは、試合全体を俯瞰できる立場かと思いますが、「今日の試合は勝てそうだな」といったことはわかるものなのですか?

【中澤】プロになりたてのころはわかっている気になっていました。しかし、マリノスに移籍して岡田武史監督と出会ってからは、そういったことは一切考えないようにしました。

岡田監督が口を酸っぱくしておっしゃっていたのが、「90分間どうなるかわからないという精神状態でいないと、ディフェンスはものの1秒で失点する。その1秒を虎視眈々と狙っているのが、相手のフォワードなんだ」と。実際、サッカーでは「ボールはまだあんな遠くにある」と油断していると、キラーパス1本であっさりゴールを決められたりします。

【三宅】では岡田監督の言葉で、ディフェンダーとして一皮向けたわけですね。

【中澤】間違いありません。「89分集中したけど、残りの1分でやられました」というのは、あってはいけない言い訳であり、ボールがどこにあっても気持ちを切らさないことがディフェンスとして最低限やらなければいけないことであると、監督から教わりました。

元サッカー日本代表の中澤佑二氏
撮影=原貴彦

レフリングにイラつくのは僅差の試合をしているから

【三宅】岡田監督からは、ほかにどのようなアドバイスを受けましたか?

【中澤】本当にいろいろ学ばせていただきました。たとえば、レフリングに関して、若いときの僕は、試合結果をすぐに審判のせいにしていた。

しかし、岡田監督はそんな僕に対して「レフリーも人間だから、時にはミスもする。それに対してイライラするのは、エネルギーの無駄遣いだ。そもそもレフリングの判定で試合の勝敗を決めるような試合をすること自体がいけない。それ以前に勝負を決められるように努力をしろ」とおっしゃるのです。

【三宅】噂には聞いていますが、素晴らしい監督ですね。

【中澤】心の底から尊敬します。とはいいながら、岡田監督もレフリングでよくイライラされていましたが(笑)。