需要の価格弾力性が低いビジネス客に起こった変化とは

これまでは、各航空会社は、単価の安い団体の観光客よりも単価の高いビジネス客をより重視して、ターゲットにすることによって、収益を維持してきた。団体の観光客は航空運賃に比較的敏感であるのに対して、ビジネス客は、どちらかといえば、航空運賃にそれほど敏感ではなく、ビジネス客の需要の価格弾力性が低かった。むしろビジネス客は機内で仕事のできる幅広いシート、美味しい機内食、ゆっくり休めるフラットシート、充実したビデオ・プログラムなどのサービスを重視していた。また、航空会社は、ビジネス客の需要の価格弾力性の低さを前提として、世界金融危機が発生する07年までの原油価格の急騰も、燃油サーチャージ(特別付加運賃)に価格転嫁することで対応してきた。

しかし、世界金融危機による世界同時不況で、ビジネスが低迷していくに伴って、根本的に出張の回数が大きく減少する一方、同時に、単価の高いビジネス客も航空運賃に敏感にならざるをえなくなってきた。このようなビジネス客の構造的な需要の変化の中で、各航空会社はその対応を迫られている。

Financial Timesの記事に戻ろう。世界には、3つの航空業界の国際的アライアンスが存在する。それらは、デルタ航空とエールフランス=KLMオランダ航空を中軸とするスカイチーム、ルフトハンザ・ドイツとユナイテッド航空を中軸とするスターアライアンス、そして、ブリティッシュ・エアウェイズとアメリカン航空を中軸とするワンワールドである。日本の航空会社については、前述したように、日本航空はワンワールドに加盟している。一方、全日空はスターアライアンスに加盟している。また、これらの3つの航空会社の国際的アライアンスの規模の比較は、表(出典:Financial Times)に要約されている。