近年明らかになった自律神経と免疫の驚きの関係

私たちの体のなかには「交感神経」と「副交感神経」という2つの「自律神経」があり、ストレスが加わると交感神経の活動が高まって、心拍数が増えて胸がドキドキしたりする。逆にストレスフリーになると副交感神経の活動が高まり、心拍数が抑えられる。こうしたストレスと自律神経、そして免疫力との関係が明らかになりつつある。

「神経系と免疫系との関係を、科学的論文として1919年に世界で初めて発表したのが細菌学者の石神亨氏でした。肺結核に罹った患者さんの白血球を調べ、事業の失敗や家庭内の不和など強い社会心理的ストレスを受けた人の場合、結核菌を食べる貪食機能が低下していることが判明したのです」

こう語るのは神経系と免疫系との関係を研究している大阪大学免疫学フロンティア研究センターの鈴木一博教授。

その鈴木教授が研究しているのが、免疫細胞のなかでも獲得免疫(適応免疫)を司るリンパ球と交感神経との関係だ。リンパ球は、頸部、腋窩などにあるリンパ節とリンパ節との間を行き交いながら、全身をパトロールする。そしてリンパ節で細菌やウイルスなどの病原体の侵入を検知すると、リンパ球がとどまって病原体の性状を記憶し、獲得免疫を引き起こす準備を行う。