アレンジした『ゴーーール!』を流すことも
同システムは、そのビジネスモデルもイマドキのITソリューションらしい建て付けになっている。
ヤマハは現在、リモートチアラーを操作するスマホアプリ上で表示される情報や、コンテンツ課金などで入ってくる収益を、サッカークラブなどのパートナー企業とシェアする仕組みを模索している。グーグルの検索エンジンやGメール自体は無料サービスでありながら、広告で社として収益を得られている仕組みを思い浮かべてもらえばいいだろう。
「我々としては、新しい応援文化を創造するためのプラットフォームを提供している、という意識でビジネスモデルを構築していきたいと考えています」
だから、リモートチアラーの様々な利用法の提案や、システム自体の進化にも余念がない。
「応援の音声をカスタマイズできる機能を生かして、導入クラブに縁のある有名人の『みんなで一緒に応援しよう!』とか『ゴーーール!』といった声をスタジアムに流すなんてことも面白いでしょうね。そして、会場でリモートチアラーを使っている観客には、今ボールを持っている選手が誰なのかとか、オフサイド場面でのルール説明といった情報を文字で即時的に送ることもできますから、ビギナー層でも生観戦をより楽しむことができます。また、本来のスケジュールを前倒ししてシステムをリリースしているので、アプリ画面の使い勝手にはまだまだ満足できていないところがあります。今後はそのあたりも、できる限り早くブラッシュアップさせていきたいですね」
2020年は世界中のあらゆる種目のスポーツで無観客、もしくは入場者数制限がかけられた状態の試合が続く可能性が高い。そんなスポーツ受難の緊急事態を救った日本発の新発明として、リモートチアラーというシステムが後年、人々に記憶されることになるのかもしれない。