節電の夏、にわかに「脇汗ボトックス」をする人が増えている。

ボトックスとは、ボツリヌス毒素Aを完全無毒化した製剤。これまでこの製剤は、目尻や額へ注射するなどシワ隠しのプチ整形に使われてきたが、東京・大久保の五味クリニック院長・五味常明氏によれば、今春以降、それを脇汗対策で打つ手術を希望する人が続出。手術数は例年同期比4倍だという。

さらに驚くのは、もともと女性患者が多かったのに、ビジネスマンの間に“流行”している、ということである。

患者たちが悩むのは多汗症。その主な原因は精神性のものだ。景気低迷や職場の人間関係などのストレスにより、脇に流れるような汗をかく。シャツに大量の汗染みができる。仕事が営業や接客だったり職場に女性が多かったりすると、不潔に思われてはいけない、とさらに発汗量が増える。悪循環だ。

しかし、この夏、急に脇汗ボトックスを打つビジネスマンが増えたのは、やはり震災の影響だ。

取材日だけでも、五味氏は20人の男性に脇汗ボトックスの手術をした。手術数は例年同期比4倍。
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取材日だけでも、五味氏は20人の男性に脇汗ボトックスの手術をした。手術数は例年同期比4倍。

「節電が叫ばれるやいなや、『エアコンの設定温度が上がれば、汗がもっと噴き出るのは確実』と予期不安に襲われ、症状が悪化してしまう男性も多かったのです。努力家で負けず嫌いで、周囲に気配りするやや内向的なタイプのビジネスマンが多いですね」(五味院長)

手術の時間はトータル20分程度。麻酔テープを貼った後、左右の脇に10カ所ずつ、注射で製剤を注入する(各2cc)。そのとき、虫に刺されたくらいの痛さがあるという。早い人なら翌日から効果が表れ、「汗量が7割減って、汗もサラサラした感触に」(同)。平均すると半年間は効果が続くが、その間に精神性の多汗症が治る人も少なくない。「自信を取り戻して、仕事にも積極的になる人も多いですね」(同)。

ボトックスで業績アップするなら、手術費用5万~7万円も安いもの!?