正念場を迎える史上最長政権

世界各地に感染拡大した新型コロナウイルスへの対策が後手に回る安倍晋三首相が焦燥感を募らせている。集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号をめぐる対応などが外国メディアから批判され、内閣支持率が急落すると、専門家の意見を踏まえたまま「全国一斉の臨時休校」を唐突に打ち出し、学校現場や保護者らの大混乱を招いた。2度にわたる記者会見で「未知のウイルスとの闘い」と精神論を振りかざす安倍首相だが、資金繰りに苦しむ民間企業をはじめ、閑古鳥が鳴く観光業や飲食店などは我慢の限界に達してきている。

精神論を振りかざす安倍首相に観光業や飲食店などは我慢の限界だ。
精神論を振りかざす安倍首相に観光業や飲食店などは我慢の限界だ。(時事通信フォト=写真)

「卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます」。NHKが生中継した2020年3月14日の会見で、安倍首相は唐突に祝辞を送った。が、卒業式は「もう終わったり、中止されたりしている」(立憲民主党の蓮舫議員)状況で、野党は「場当たり的な発言」と批判している。

安倍政権のコロナウイルス対応を振り返ると、そもそも初動から遅れ、迷走していた。東京都や大阪府は20年1月24日に対策会議を開催して早い段階から対策を練っていたが、肝心の政府は対策本部を20年1月30日に設置、専門家会議は20年2月14日まで開催されなかった。