それに今年は、徴用工問題でこじれに拗れ、日韓関係は戦後最悪といわれている。日本からの輸入は激減し、韓国から日本への観光ツアーもキャンセルが相次いでいる。そんな中だから、彼女への誹謗中傷は、以前よりさらに激しく厳しいものだったのだろう。

自分のアイデンティティを見失いかけている28歳のク・ハラにとって、生きるよすがを見出すことは難しかったのかもしれない。

プライベートまで拡散されバッシングを受ける

だが、こうしたケースは、韓国では頻発しているのだ。韓国は自殺大国である。40歳以下の死因のトップは自殺だといわれる。

外国のメディアも、世界を席巻しつつあるK-POPのアイドルの死に無関心ではない。

ニューヨーク・タイムズ(11月25日付)は、K-POPのスターたちの私生活はSNSによって拡散されるが、そのためにその人間たちのプライベートまでが明るみに出ることで、バッシングが殺到すると報じている。

ワシントンポスト(11月24日付)は、ソルリとク・ハラの2人は、デートはおろかリアリティのある生活もできず、厳格な規範に従わなくてはいけなかったが、憎悪に溢れたネットの標的になったと報じ、2人の死は、いかに韓国の司法制度が女性をないがしろにしているかの警告だと報じている。

日本も韓国のことをいえたものではないが、韓国の芸能界は日本以上の過当競争で、その中で心をすり減らし、自殺するアイドルたちが後を絶たないようだ。

私はテレビで見るだけだが、日本のアイドルグループに比べて、K-POPのアイドルたちは踊りと歌がうまい、脚がきれいだ。だが、彼女たちの華やかな微笑みの裏には、汗と血の涙が染みついているのであろう。

韓国芸能界は「ジャニーズ方式」を真似てきた

『週刊文春』でも報じているが、韓国の芸能界は日本のやり方を真似まねしてやってきた。中でも、ジャニーズ事務所のアイドルづくりを徹底的に研究したといわれている。

日本でも昨今、芸能事務所とタレントとの不平等契約が問題になっているが、韓国ではもっとひどいらしい。

『週刊文春』でK-POPグループの元メンバーだったウィルがこう語っている。

「デビューしてから数年間はほとんど収入がなかった。私のグループの曲が韓国の配信チャートで年間トップ七位に入ったのですが、その年の年収は日本円でたったの二万六千円でした(笑)」

別の元アイドルの男性も、21歳のとき5人グループでデビューして、テレビや雑誌に出たが、5年経っても一度も給料をもらうことができなかったと話している。
事務所に直訴すると、「練習生のお前にいくらつぎ込んだと思うんだ。絶対に辞めさせない」と恫喝どうかつされたという。