都会なのに人が温かい

人間関係が希薄になるにつれ、「世話を焼く」という行為が必ずしも好まれなくなった。特に都会生活では「そこまでプライベートに踏み込まないで」と考える人も多く、さじ加減が難しい。

高級ホテルをバックに「赤坂の街の面白さ、人の温かさ」を熱弁する小山田滝音さん。父は放送作家としてNHKなどで活躍した故・小山田満月さん。

そんななか、東京都心の港区赤坂で「なんでそこまで他人の世話を焼けるの?」(同地区で働く30代の女性経営者)と周囲を驚かせる人がいる。小山田滝音さん(34歳)だ。

小山田さんの活動は多彩である。ネット上の地域メディア「赤坂経済新聞」記者として取材・執筆する日もあれば、地方から東京にやって来た人向けの「上京ライフ」編集長も務める。後者は本人が立ち上げたWebメディアだ。

赤坂地区の清掃などボランティア活動にも積極的に参加する。アークヒルズや高級ホテルが立地し華やかなイメージが強いが、庶民的な一面もあるのが赤坂だ。前述の女性経営者とは清掃活動でも一緒だという。

「都会の真ん中なのに人が温かい。飲食店も個人経営が多く、まるで醤油を貸し借りするような関係もあります。街に入り込むほど『赤坂、面白いな』と感じ、もっと深く向き合いたいと思うようになりました」

取材中、「ぼくがビジネス誌に登場していいんですか?」と頭をかきかき、話を続ける。