何かを回答するにしても、要望内容が固まらなければ、何について回答しなければいけないのかわからず、いつまでも電話を聞くことになってしまう。あえて電話の途中で、こちらからクレーマーの主張を整理することで、クロージングに持っていきやすい。

このようにしても、クレーマーのなかには、納得するまで電話を切ることを許さない者もいる。「こちらの了承なく電話を終わらせようとするな」と言う者すらいる。

そういうときは、「会社のルールで原則として30分以上の電話対応はできないことになっております。いったん切らせていただきます」と言って切るほかない。再度電話がかかってきても、出ない。必要があれば、書面で事後的に回答すればいい。いずれにしてもどこかで明確な線引きをしなければ、終わりを迎えることができない。

「上司を出せ」という要求に屈しない

経営者にとって、クレーマー対応は自ら陣頭指揮をとるべき事項である。もっとも、陣頭指揮をとるべきであるが、経営者がクレーマーと直接対面することはできるだけ避けるべきだ。

交渉においては、決定権を持つ者がいきなり出て行くことがいいとは限らない。その場での判断を余儀なくされてしまうため、相手がクレーマーである場合には避けるべきだ。「事業効率」という観点からしても、できるだけ担当者レベルで対応するべきだ。

担当者がレベルを上げるためには、基本的なスキルを学んだうえで経験を積んでいくしかない部分もある。「上司を出せ」と言われて、「わかりました。お待ちください」では対応したことにならない。なにより言われた上司としても対応できるとは限らない。

いったん上司が出てしまうと、次は「トップを出せ」ということになる。さりとてクレーマーに「上司に回すことはできません。私が責任者です」と言うだけでは話は終わらないであろう。そこで、クレーマーに満足感を与えつつ、上司に電話を回すことを考えることになる。

「電話に出ない」ことも選択肢

具体的な会話としては、次のようなものがひとつのモデルになる。

「○○様のご意見は承知しました。本件についての担当者として一度、上司と時間をとって協議させていただきます。協議の内容についてはあらためて連絡させていただきます」

まずはっきりさせるのは、「担当はあくまで自分であって上司ではない」ということだ。いったん上司が対応してしまうと、以降の対応をすべて上司がしなければならなくなるからだ。

そのうえで上司とは別の機会に協議するとして、いったん電話を終わらせるようにする。このとき、重要な案件であるために、上司と時間をとって相談するという話にもっていく。