大河ドラマは「呪われているんじゃないか」

NHKも、ドラマに出演させる俳優・女優を選ぶときは「身体検査」をするといわれる。特に、このところ出演俳優たちの不祥事が頻発している大河ドラマでは、なおさら厳密な調査が行われたのだろうが、なぜ、沢尻が振るい落とされなかったのだろう。

沢尻を、来年から始まる「麒麟がくる」で、戦国大名、斎藤道三の娘・帰蝶(濃姫)という重要な役に抜擢したのである。

明智光秀と姻戚関係にあり、幼い頃からの付き合いでもあるが、政略結婚により、のちに織田信長の正妻となる女性であるが、すでに10話まで撮影を終えていたという。

慌てたNHK側は、川口春奈を代役として決定し、撮り直しするそうである。

週刊ポスト(同)は、大河ドラマで、病気や不祥事で降板した俳優・女優たちをグラビアで特集しているが、NHKの制作部局員が語るように、「呪われているんじゃないか」と思わざるを得ない。

渡哲也や萩原健一、萬屋錦之介は病気だから致し方ないが、1978年の「黄金の日日」では室田日出男が覚せい剤所持で逮捕され降板。

2006年の「功名が辻」では杉田かおるが初回の撮影をドタキャンで出演辞退。2016年の「真田丸」では、高畑裕太が強姦致傷の疑いで逮捕されて降板。

「西郷どん」では、斉藤由貴が不倫報道で出演辞退。「いだてん~東京オリムピック噺」では、ピエール瀧がコカイン使用で逮捕、降板。徳井義実の所得隠しが発覚して出演シーンを大幅に縮小した。

そして今回の沢尻エリカの逮捕である。

“おいしい”番組をなぜ撮り直すのか

毎回、芸能人の不祥事が発覚すると、その人間が出ていた番組を中止したり、他の人間に差し替えたりという騒ぎが起きる。そして必ず、違約金は数億円になるという見出しがスポーツ紙や週刊誌に踊る。

だが、殺人犯なら致し方ないとは思うが、なぜ、警察に逮捕されると、その人間が出演しているドラマや映画を撮り直したり代役を立てたりするのだろうか。

視聴率的にいえば、あの沢尻エリカが逮捕前に出ていた大河ドラマへの興味は高いはずだから、新年早々放送開始の大河ドラマは、高視聴率が約束されたようなものである。そんなに“おいしい”番組をなぜ撮り直しする必要があるのだろう。

第一、その人間が逮捕されても、起訴され、裁判で有罪にならない限り「推定無罪」であることは常識である。

有罪にならない前に、メディアが有罪だと断罪しているようなものではないか。