「自分たちの参考になるか」を考えて学ぶ

もちろん、欧米の先進企業の働き方の中にも、一般的な日本企業の参考になるものはあるだろう。それを見つけるために本を読むのであれば、「One for All, All for One」の観点から読むことを勧める。

流行だから、新しいからと飛びつくのではなく、「One for All, All for One」を実現するために参考になるか、と考えて読む。すると、「この本はfor Oneの話しかしていない。for Allの視点がないな」といったことがわかり、自分たちの働き方改革の参考になるかならないかも判断できるはずだ。その視線や工夫こそが、日本企業の人事部や、組織を率いるリーダーの腕の見せ所となる。

高スキル人材をかき集めても業績は上がらない

流行に飛びつくのと同様に、高いスキルをもった人材にやたらと飛びついて、高額報酬で次々と採用する企業がある。しかし、こうした企業の多くもまた、うまくいかない。なぜなら、そのスキルに魅せられるあまり、自分の企業が目指す姿や文化、DNAなどに対して、従業員全員の共感度合いが薄いからだ。「for All」として束ねるビジョンなり、理念なり、考え方がないために、どんなにスキルが高い人を雇っても個人能力を発揮するにとどまってしまい、組織力が発揮されることがない。

そして外からやってきた高スキル人材がリーダーになっても、根本の考え方や目指す姿が共有されていなければ、メンバーがつらくなり、「何なんですか、あの人は」となる。

特にスタートアップには、こうしたスキル人材偏重に陥る企業が多い。スキルが高い人を雇って、「自由にやっていいよ。成果出してね」といった具合だが、それで業績が上がるわけではまったくないのだ。

人間は限定合理的なので、要素還元的に「個人が仕事をして、その集まりが企業である」ということではない。直接間接的な連携関係や協力関係があり、そうした関係を心地良く感じる人もいれば、逆に、関係に苦しむ人もいる。組織によって苦しんでいる個人もいれば、組織からかけがえのないもの、生きがいを与えられたと感じて働いている人もいる。それぐらい人間は感情的な生物なので、組織文化とのフィット度合いや良好な人間関係、組織からの承認といったものが、昔以上にものすごく重要度を増している。