コミュニケーションの主役は自分ではなく相手である。この原則は動かせない。ただ、相手の事情を忖度するばかりで「伝える」というメール本来の機能を果たせなくなってしまえば、本末転倒になるだろう。

松本さんが嫌うのは「長文でしかも言いたいことがわかりにくいメール」である。「一瞥して不要と感じたものは『ゴミ箱』に放り込むことにしています」(同)と手厳しい。

無礼といえば無礼だが、日々膨大なメールが行き来し、一般のビジネスパーソンでも処理が追い付かないのが現実だ。

「いまの時代、『メールは読まれないこともある』と割り切ることが大事です。出したメールに返事がなければ、うっかり消されたのかもしれませんし、書き方が悪くて伝わらなかったのかもしれません。こちらから送った大事なメールに返事がなかったら、私はメッセンジャーなりSMSで一言、念押しするようにしています」(同)

メールの本来の機能とは何ごとかを相手に「伝える」ことだ。速く確実に伝えるためには、一見非礼に思えることでも、割り切って取り入れるべきではないだろうか。

石黒不二代
ネットイヤーグループ社長
1958年、愛知県生まれ。名古屋大学経済学部卒、米スタンフォード大学MBA。ブラザー工業、スワロフスキー・ジャパンを経て、99年米ネットイヤーグループのMBOに参画。2000年現職。
 

森川 亮
C Channel社長
1967年、神奈川県生まれ。筑波大学卒。日本テレビ、ソニーを経て2003年、現在のLINEに入社、07年社長。15年より現職。著書に『すべての仕事は10分で終わる』などがある。
 

中村利江
夢の街創造委員会社長
1964年、富山県生まれ。高岡高校、関西大学文学部卒。リクルート、ハークスレイ(ほっかほっか亭本部)などを経て、2001年夢の街創造委員会取締役に就任。02年から社長。
 

矢島里佳
和える社長
1988年、東京都生まれ。2011年、慶應義塾大学法学部卒業と同時に、和えるを設立。同大大学院修士課程修了。著書に『やりがいから考える自分らしい働き方』『和える』などがある。
 

松本 大
マネックス証券社長
1963年、埼玉県生まれ。開成高校、東京大学法学部卒。ゴールドマン・サックス証券ゼネラルパートナーを経て、99年にマネックス証券を設立。著書に『私の仕事術』などがある。
 
(撮影=永井 浩、貝塚純一、宇佐美雅浩 写真=つのだよしお/AFLO、iStock.com)
【関連記事】
「役員級と課長止まり」言動と服装の違い
会社が絶対手放さない、優秀人材6タイプ
"メンタルが強めな人"にある3つの超感覚
レクサス"神営業マン"の武器は沈黙だった
まじめで優秀な人ほど、昇進しにくい理由