コンビニ各社が冷凍食品に力を入れはじめた。最大手のセブン-イレブンは、冷凍食品の販売面積を広げた店舗を増やしている。新型店舗での売り上げは前年比150%増だ。そのポイントは「スーパーにはない独自商品」。大手3社に取材した――。

冷凍ケースが3台もあるセブン店舗

売り場のほぼ一列を陣取ったセブンのアイスケース。品ぞろえの多さに足をとめる客が多い(撮影=吉岡秀子)

パック惣菜、サラダ、スープにスイーツ……コンビニの品ぞろえが変わってきたと感じる読者は多いだろう。なかでも、今ホットな売り場は冷凍ケースだ。コンビニ発の冷凍食品が軒並み売り上げを伸ばしている。現場を探った。

平日の午前11時。東京都足立区の住宅街にあるセブン‐イレブン(以下セブン)の前には、来店客のものだろう数台のママチャリがとまっていた。

中へ入ると主婦や高齢の男性などが買い物カゴを手に、売り場を回っている。客が何度も視線を注いでいたのが、店内でかなりの面積を取っている3台の冷凍ケースだ。

「平台」と呼ばれる冷凍ケースの中には文字通り、アイスクリームが並んでいるのが一般的だ。だが、その大きなケースが3台もあるのは非常に珍しい。

中をのぞいてみると、冷凍のパスタやラーメンといった麺類から、たこ焼き、お好み焼きなどの軽食、焼き肉や焼きとりなどのおかずまで充実したラインナップがずらり。

「2年前から新店を中心に、中食を強化する新レイアウト店に切り替えています。昨年末からは既存店も、そのコンセプトを踏襲して平台型の冷凍ケースを増設し、中食の主力商品である冷凍食品の品ぞろえを充実させているんです」(セブン広報 戸田雄希さん)

冷凍ケースをドーンと増設した既存店は2月末には全国700店まで広がる予定で、今後も拡充していくそうだ。

セブンが冷凍食品に注力している

“コンビニ=中食が多い”イメージは定着しつつあるが、長年「スーパーの値引き商品」というポジションだった冷凍食品の開発にセブンがこれほど注力していることは、あまり知られていない。昔、コンビニの冷凍売り場にあるモノといえば、鍋焼きうどんやロックアイスくらいだったのだから。

セブン商品本部の冷凍食品担当・阪上かおるさんに話を聞くと、「10年以上前から100円シリーズなどPB(プライベートブランド)の冷凍食品を作ってきましたが、冷凍食品を『食卓惣菜』と位置づけて開発を強化させたのは13年ごろから」だという。

11年に起きた東日本大震災のあと、コンビニを利用する女性やシニア客が増えたタイミングだ。「その場で食べる」に加え「家に持ち帰ってストックしたい」というニーズの高まりに応えて、冷凍食品にスポットライトを当てた。