副知事・副市長レベルでもまとめられないものは、全てこうやって僕と松井さんのトップで調整してまとめていたんだよ。そういうことをやり続けてきたから、これまで30年も40年も放置されていたビッグプロジェクトも、なんとか府市一体で実現できた。その他細かな懸案事項を2人でまとめ上げた事例まで挙げたらほんとキリがない。

松井さんと吉村さんになっても同じだ。表には出ていない膨大な調整を、松井さんと吉村さんでやってきた。僕を含めて3人でご飯を食べるときだって、ほとんどが松井さんと吉村さんの府市の懸案事項を調整する話。いまだに焼き鳥屋かおでん屋で大阪首脳会談が行われている。こういう現実を、世間はもちろん、メディアもインテリたちも知らないし、小西さんも柳本さんも知らないんだよね。

観光案内所の府市の費用分担でさえまとまらなかった!

でも本来、こんな調整の仕事はトップの仕事じゃない。これは組織の仕事で、最終的には副知事・副市長レベルで完結する仕事だ。まさに小西さんが副知事のときに、きっちりと府市をまとめなければならないところ、現在の府庁と市役所の関係・制度を前提にするとまとめることができなかったんだよ。

しかもスーパー公務員小西副知事ですらまとめることができなかったものは、ほんと細かな行政実務のレベル。2000万円くらいの観光案内所の費用を府と市でどれくらいの割合で分担するのか、御堂筋イルミネーション費用の分担割合はどうするのかなどなど。その他細かな10項目くらいのことがどうしても副知事、副市長レベルでまとまらないから、僕、松井知事、そして府市の幹部数十人が集まって大げさな府市統合本部会議を開いて、朝から夕方まで、徹底協議・調整をした。最後は僕と松井知事でまとめていったけど、たった10項目でさえ、そんな作業をやらなければならなかった。しかも府市統合本部で議論するまでに、府庁と市役所でそれぞれ議論し、僕と松井さんも役人と膨大な議論をし、さらに僕と松井さんとで直接協議した。そして府市統合本部での朝から夕方までのぶっ通しの議論。

細かな10項目でさえ、これだけのエネルギーが必要になった。市議会議員で自分の意見だけを好き勝手に言っていればよかった柳本さんは、この調整の実態を知らない。メディアやインテリたちはもっと知らない。「都構想なんて不要で、府と市が話し合いでやればいい」なんて、そんな簡単に言うなよな! 僕と松井さんの関係ですら、これだけ大変だったんだ。

小西さんは副知事として、そのことをよくよく知っているはず。

数百億円、場合によっては数千億円単位のビッグプロジェクトになれば、いったい府と市の対立と調整はどうなるのか。副知事、副市長レベルではまとめられず、結局知事、市長のところに上がってきてトップ調整をやるはめになる。大阪は延々このようなトップ調整が必要になって、これは変化が速く都市間競争に打ち勝たなければならない時代には不適切だ。僕や松井さん、松井さんや吉村さんのような関係にない、小西・柳本体制になれば、トップ調整によってもまとめることができず、結局、大阪の成長にとって必要なビッグプロジェクトは、以前のように30年、40年放ったらかされることになるだろうというのが僕の見立てだ。

(略)

(ここまでリード文を除き約2300字、メールマガジン全文は約1万1700字です)

※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.145(3月26配信)を一部抜粋し、加筆修正したものです。もっと読みたい方はメールマガジンで! 今号は《【決戦・2019大阪ダブル選挙(1)】業界団体から労組まで……その陣営に「既得権団体」の支援はあるか? 大阪維新の会と「反維新」の決定的な違いはここだ!》特集です。

(写真=時事通信フォト)
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