介護職員はほかの産業より10万円以上も月給が低い

介護労働安定センターの「介護労働実態調査」(2017年度)によれば、介護事業者に職員の過不足について聞いたところ、「不足感がある」(「大いに不足」+「不足」+「やや不足」)と回答した事業者は前年度より4ポイント増となる66.6%でした。これは4年連続で悪化。その主な原因は「低賃金」にあるようです。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/woolzian)

介護職員が不足している理由について聞くと、「採用が困難である」が88.5%で突出しています。同調査によれば、「採用が困難」という背景にあるのが、「同業他社との人材獲得競争が厳しい」「他産業に比べて、労働条件などが良くない」といった待遇面です。

この調査では、訪問介護員の平均月給は19万8486円でした。厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」(2017年)によれば、全産業の平均月給(2017年)は30万4300円なので、かなりの開きがあります。介護職員はほかの産業より10万円以上も月給が低いのです。

介護業界が警戒する「2025年問題」とは何か

こうした事情に加えて、外国人労働者の受け入れを求める背景には「2025年問題」があります。2025年は人口の多い「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になる年です。後期高齢者が増えれば、それに比例して要介護者も増えます。今でさえ人手不足に頭を悩ませているのに、2025年を迎えたらどうなってしまうのだ、と怖れているのです。

2025年まであと7年足らず。刻一刻とその時は迫っており、外国人の力を借りてでも人材を確保したいというのが介護業者の本音のようです。前出のTさんは「介護業界で働く外国人の評判は結構いいんです」とも言います。

「すでに高齢者施設やデイサービスの事業者などに外国人が実習生という形で入ってきています。多くがベトナム、ミャンマー、タイといった東南アジアからきた女性です。私が見聞きした範囲では、真面目でよく働いてくれるという声がほとんどです。ある利用者さんからも、『日本語はカタコトだけど話をしっかり聞こうとする姿勢があるし、明るくて感じがいい』と聞きました。気候や生活習慣、価値観などが異なる日本では苦労することも多いと思いますが、日本語を必死に覚えようとしていますし、仕事ぶりも誠実。部外者の私の目から見ても頼りになる人材ばかりです」